第111回医師国家試験 E68(2017年)
正答:a・d
問題
36歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。
現病歴:約1年前から易疲労感を感じていたが、仕事が忙しいせいではないかと考えて医療機関を受診していなかった。約1週間前から陰茎に傷があることに気付いていたが、痛みがないためそのままにしていた。同じころから朝起きると寝汗で布団が濡れていることが多くなってきた。これらの症状が心配になり受診した。
既往歴:約2年前に淋菌性尿道炎の治療歴がある。アレルギー歴はない。
生活歴:健康食品の営業職。独身で一人暮らし。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。約10年前から不特定多数の女性と性交渉がある。
家族歴:父親が肺癌のため56歳で死亡。母親は高血圧症で治療中。妹は健康。
現症:意識は清明。身長180cm、体重58kg。体温38.0℃。脈拍60/分、整。血圧110/80mmHg。呼吸数12/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸蠕動音に異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。四肢筋力と腱反射は正常である。陰茎に潰瘍を認めるが痛みはない。
検査所見:血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球4,300(好中球75%、好酸球8%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球10%)、血小板21万、PT-INR 1.3(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 34U/L、ALT 18U/L、LD 178U/L(基準176〜353)、ALP 340U/L(基準115〜359)、γ-GTP 30U/L(基準8〜50)、アミラーゼ90U/L(基準37〜160)、CK 42U/L(基準30〜140)、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸6.9mg/dL、血糖98mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。陰茎の写真(別冊No.15)を別に示す。
この患者に混合感染している可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
a.HIV
b.EBウイルス
c.風疹ウイルス
d.B型肝炎ウイルス
e.パルボウイルスB19
正答の理由
梅毒を疑う性行動歴のある患者では、同じく性的接触で伝播し得るHIVとB型肝炎ウイルスの重複感染を評価します。全身倦怠感やリンパ球割合の低下だけでHIV感染を確定することはできません。公式の陰茎写真は非公開で、本文の病歴と所見を根拠にしています。
画像の見方
別冊No.15は厚生労働省PDF上で非公開と明記されており、陰茎写真は目視できません。本文の無痛性潰瘍と病歴に基づき解説します。
各選択肢の検討
a.正しい。梅毒診断時にはHIV検査を行い、重複感染を評価します。
b.誤り。唾液などでも広く伝播します。本問の性行動歴から特に選ぶ重複感染の組合せではありません。
c.誤り。主に飛沫で伝播し、本例の性的接触を共通リスクとする組合せではありません。
d.正しい。血液・体液や性的接触で伝播し、重複感染と免疫状態を評価します。
e.誤り。主に飛沫などで伝播する感染症で、本問の組合せではありません。
覚えるポイント
梅毒ではHIV・HBVなどの性感染症も評価する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- CDC STI Guidelines:Primary and Secondary Syphilis
- CDC STI Guidelines:Hepatitis B Virus Infection
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。