第111回医師国家試験 D17(2017年)
正答:a・e
問題
チロシンキナーゼ阻害薬が適応である疾患はどれか。2つ選べ。
a.慢性骨髄性白血病
b.本態性血小板血症
c.慢性リンパ性白血病
d.急性前骨髄球性白血病
e.Philadelphia染色体陽性急性リンパ性白血病
正答の理由
慢性骨髄性白血病とPhiladelphia染色体陽性急性リンパ性白血病では、BCR::ABL1融合遺伝子に由来する異常なチロシンキナーゼを標的に治療します。公式正答はa・eで、BCR::ABL1阻害薬の代表的適応に対応します。ただし、出題前の2016年3月にはBTK阻害薬イブルチニブが再発・難治性の慢性リンパ性白血病に国内承認されていました。したがって、チロシンキナーゼ阻害薬全般という広い意味ではcにも適応があり、公式正答と薬剤群全体の適応範囲を区別する必要があります。
各選択肢の検討
a.正しい。BCR::ABL1を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬が治療の中心です。
b.本問の正答ではありません。血栓・出血リスクを評価し、必要に応じて血小板を減らす治療などを行います。BCR::ABL1陽性白血病とは区別します。
c.公式正答には含まれません。ただし、BTKもチロシンキナーゼであり、イブルチニブは出題前の2016年3月に再発・難治性CLLへ国内承認されています。cにチロシンキナーゼ阻害薬の適応が一切ない、と説明することはできません。
d.誤り。PML::RARAを特徴とし、全トランス型レチノイン酸〈ATRA〉や亜ヒ酸などを用いる治療が基本です。
e.正しい。BCR::ABL1阻害薬を組み込んだ治療を行います。
覚えるポイント
公式正答a・eはBCR::ABL1標的治療の組合せ。CLLへのBTK阻害薬も別に理解する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- NCI PDQ:CML・BCR::ABL1とTKI治療
- NCI PDQ:成人ALL・Ph陽性ALLのTKI
- NCI PDQ:CLL・BTK阻害薬
- NCI PDQ:ETの治療選択肢
- NCI PDQ:APL・ATRAと亜ヒ酸
- PMDA:イブルチニブ・薬理試験の概要文(2021)2.6.2、2016年3月のCLL承認経緯
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。