第111回医師国家試験 A43(2017年)
正答:e
問題
69歳の男性。膵腫瘤の増大を指摘されて来院した。4年前の人間ドックで初めて径15mm の膵腫瘤を指摘され、経過観察とされていたが、その後医療機関を受診していなかった。今回、人間ドックで腫瘤の増大を指摘され紹介されて受診した。
体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧132/80mmHg。呼吸数12/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。
血液所見:赤血球402万、Hb14.0g/dL、Ht43%、白血球6,800、血小板19万。
血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST23U/L、ALT22U/L、ALP213U/L(基準115〜359)、γ-GTP17U/L(基準8〜50)、アミラーゼ42U/L(基準37〜160)、血糖98mg/dL。CRP0.2mg/dL。腹部造影CT(別冊No.17A)とMRCP(別冊No.17B)とを別に示す。腹部造影CTで腫瘤の最大径は35mmである。
適切な手術はどれか。
a.膵全摘術
b.腫瘤核出術
c.膵鉤部切除術
d.囊胞小腸吻合術
e.膵頭十二指腸切除術

正答の理由
膵頭部の多房性囊胞性病変と膵管との交通が示唆され、増大したIPMNを考えます。手術を選択する本問では、病変のある膵頭部を切除する膵頭十二指腸切除術が適切です。現在の指針では径3cm以上は精査を要する所見ですが、大きさだけで一律に切除せず結節・主膵管径・全身状態などを総合します。
画像の見方
CTでは膵頭部の多房性囊胞性病変を認め、MRCPでは囊胞と膵管との関係を追います。壁在結節の有無や悪性度は、この画像だけで断定しません。
各選択肢の検討
a.膵全体に及ぶ病変という情報がなく、全摘を選ぶ根拠に乏しい状態です。
b.IPMNでは膵管内への進展や悪性度を考慮するため、単純な核出を選ぶ病変ではありません。
c.鉤部だけの限局切除では、膵管に関係する腫瘍の適切な切除範囲を確保できない場合があります。
d.仮性囊胞などの内瘻術とは異なり、腫瘍性囊胞を小腸につなぐ対応は適切ではありません。
e.正しい。膵頭部の病変を切除する術式として選びます。
覚えるポイント
IPMNの手術適応の判断と、病変部位に応じた切除術式の選択を分ける。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。