第111回医師国家試験 A33(2017年)
正答:e
問題
20歳の男性。左陰囊の腫瘤を主訴に来院した。1年前から陰囊上部の腫瘤に気付いていた。夕方になると時々左陰囊に鈍痛を自覚することがあった。立位での左陰囊上部の写真(別冊No.13A)を別に示す。破線で囲まれた部位に腫瘤を触知する。腫瘤は柔らかく、仰臥位で縮小し立位で腹圧を加えると腫大する。臥位での破線部の安静時超音波像(別冊No.13B)と腹圧時カラードプラ超音波像(別冊No.13C)とを別に示す。
この患者に生じる可能性が高いのはどれか。
a.尿失禁
b.射精障害
c.精巣腫瘍
d.勃起障害
e.造精機能障害

正答の理由
立位や腹圧で腫大し臥位で縮小する柔らかい陰囊上部の腫瘤と、超音波上の拡張した血管から左精索静脈瘤を考えます。精巣周囲の静脈うっ滞は精子の産生・機能に影響し、男性不妊につながることがあります。すべての患者に不妊が生じるわけではありません。
画像の見方
Bでは蛇行する無エコー管状構造が集簇し、Cでは腹圧時の血流信号を認めます。公開原本の写真Aは非公開のため、提示されたB・Cと病歴で評価します。
各選択肢の検討
a.尿道括約筋の障害ではなく、尿失禁は代表的な合併症ではありません。
b.射精経路の障害を主病態とする疾患ではありません。
c.精索静脈瘤が精巣腫瘍へ変化するという関係ではありません。精巣内の充実性腫瘤とは区別します。
d.勃起障害よりも、精子所見の悪化と造精機能への影響が本問の特徴です。
e.正しい。精子数や運動率などが低下することがあり、必要に応じて精液検査を行います。
覚えるポイント
精索静脈瘤は立位・Valsalvaで増大し、造精機能障害に関係する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。