第111回医師国家試験 A15(2017年)
正答:d・e
問題
人工弁置換術について正しいのはどれか。2つ選べ。
a.生体弁は機械弁より耐久性が優れている。
b.機械弁置換術後の観血的処置は禁忌である。
c.機械弁は生体弁に比べて感染が起こりにくい。
d.術後は抜歯にあたり抗菌薬の予防投与が推奨される。
e.機械弁置換術後は長期的なワルファリンの投与が必要である。
正答の理由
人工弁を有する患者では感染性心内膜炎の予防が重要で、歯肉や歯根部を操作する抜歯などでは抗菌薬予防投与の対象になります。また、機械弁では血栓形成を防ぐためワルファリンによる長期抗凝固が必要です。処置自体を一律に禁忌とせず、出血リスクと血栓リスクに応じて管理します。 cの感染頻度比較には研究対象・観察期間による違いがあり、現行指針でも優劣は議論があるとされます。公式の2肢はd・eとして、感染リスクが完全に同等という断定は避けます。
各選択肢の検討
a.一般に耐久性は機械弁が優れ、生体弁は構造的劣化を来すことがあります。
b.抗凝固管理や感染予防を検討して実施でき、一律に禁忌ではありません。
c.公式正答には含まれません。ただし、感染リスクが両材質で常に同じとも断定できず、生体弁で感染・再感染が多い報告もあります。現行指針も感染制御の優劣には議論があるとしており、素材だけで一律に感染しにくいと暗記せず、両者とも感染予防が必要と理解します。
d.正しい。人工弁患者の抜歯など、歯肉・歯根部の操作を伴う歯科処置で推奨されます。あらゆる歯科処置が対象ではありません。
e.正しい。長期のビタミンK拮抗薬による抗凝固が必要で、DOACを代替として用いません。
覚えるポイント
機械弁は長期ワルファリン、人工弁患者の抜歯は感染性心内膜炎予防を考える。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第111回医師国家試験問題および正答
- ACC/AHA2020:人工弁の抗凝固管理
- AHA:人工弁患者の歯科処置と感染性心内膜炎予防
- 日本循環器学会2026感染性心内膜炎指針:人工弁材質と感染制御の留保
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。