第110回I問題43:左房粘液腫で考えにくい病態|第110回医師国家試験I43

第110回医師国家試験 I43(2016年)

正答:e

問題

52歳の女性。心雑音の精査のため来院した。職場の健康診断で心雑音を指摘されたため受診した。身長161 cm、体重52 kg。体温36.3℃。脈拍64/分、整。血圧118/68 mmHg。体位によって変動する拡張期雑音を心尖部に聴取する。心エコー図(別冊No. 10)を別に示す。病変は可動性を認める。

この患者に起こり得る症状または病態として考えにくいのはどれか。

a.発熱

b.失神

c.片麻痺

d.関節痛

e.肺塞栓

心エコー図(別冊No. 10)
別冊No. 10 / 出典:厚生労働省・第110回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

心エコーの可動性左房腫瘤と体位で変動する拡張期雑音は左房粘液腫に合います。発熱や関節痛などの全身症状、弁口閉塞による失神、体循環への腫瘍塞栓による片麻痺は起こり得ます。一方、左房由来の塞栓は体循環に向かい、肺塞栓は右心系腫瘤で問題となるため、eが考えにくい選択肢です。

画像の見方

左房内に可動性腫瘤がみられる。

各選択肢の検討

a.粘液腫が産生する炎症性サイトカインなどにより発熱や炎症反応を伴うことがあります。

b.可動性腫瘤が僧帽弁口を一時的に閉塞すると心拍出量が低下し、失神を来すことがあります。

c.左房腫瘍または表面血栓が体循環へ塞栓すると脳梗塞を起こし、片麻痺を生じ得ます。

d.発熱、関節痛などの全身症状を呈することがあります。

e.左房からの塞栓は左室・大動脈を介して体循環へ向かいます。肺塞栓は通常、右心系から肺動脈へ塞栓する状況で考え、本例の左房粘液腫では最も考えにくいです。

覚えるポイント

心腔内腫瘤は左右どちらの心房にあるかで塞栓の行き先が異なり、左房病変では全身塞栓を考えます。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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