第110回医師国家試験 H22(2016年)
正答:d
問題
22 45歳の女性。腹部膨満感と胆汁様消化液の嘔吐とを主訴に来院した。2か月前に胃癌による癌性腹膜炎と診断され、本人と家族とに数か月の予後と告知されていた。2週前から腹痛に対しオピオイドが投与されており、1週前から排便や排ガスがなくなり、時々、胆汁様消化液の嘔吐がある。るいそうが目立ち、腹部は膨満し、腸雑音が減弱している。腹部エックス線写真で小腸ガスを伴う腸管拡張像が観察され、大腸のガス像を認めない。治療方針について、緩和ケアチームの中で消化器疾患の担当医と緩和ケアの担当医の意見が一致しない。
対応として適切なのはどれか。
a.他院のセカンドオピニオンを求める。
b.緩和ケアの担当医の意見を優先させる。
c.消化器疾患の担当医の意見を優先させる。
d.患者、家族および緩和ケアチームで話し合う。
e.在宅ケア担当のかかりつけ医が単独で方針決定する。
正答の理由
進行癌による腸閉塞に対して専門医間で意見が異なる場合、どちらかの医師の意見を機械的に優先させず、治療の利益・負担と患者の価値観を共有して決める。本問では患者、家族、緩和ケアチームで話し合う選択肢dが適切である。
各選択肢の検討
a.誤り。セカンドオピニオンは選択肢だが、まず当事者間で情報と希望を共有する場が必要である。
b.誤り。緩和ケア医だけの判断に委ねることは、専門性と患者の意思を十分に反映しない。
c.誤り。消化器担当医の判断だけで決めず、緩和の目標や患者の希望も含めて検討する。
d.正しい。医学的妥当性を踏まえ、患者本人の意思決定を中心に家族と多職種で合意形成する。
e.誤り。担当チームや患者を外して、かかりつけ医が単独で決めるものではない。
覚えるポイント
終末期の方針は患者本人の意思を基本に、医療・ケアチームと十分に話し合って決める。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年版)
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題H(物理ページ13–27)
- 厚生労働省:第110回医師国家試験正答値表
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。