第110回医師国家試験 H21(2016年)
正答:e
問題
21 65歳の女性。腹痛を主訴として家族とともに緩和ケア外来を受診した。1年前に進行膵癌の診断で膵体尾部切除術を受け、1か月前から腹痛が出現した。局所再発、肝転移および腹膜播腫を認め、予後は2か月程度と考えられる。医師が患者に根治は困難であることを伝えた。患者は流涙したまましばらく沈黙が続いた。その後、医師が「お話を続けてもよろしいでしょうか」と声をかけると患者は頷いた。
次に医師がかける言葉として適切なのはどれか。
a.「何か叶えたい希望はありますか」
b.「来週落ち着いて話し合いましょう」
c.「あまりお役にたてることはないようです」
d.「残された余命について話し合いましょう」
e.「今どのようなお気持ちか話していただけますか」
正答の理由
根治困難を聞いて涙を流し沈黙した患者には、すぐに希望や余命の話題へ移るより、まず現在の気持ちを語れるよう促す。選択肢eは患者の感情を確認し、受け止める開かれた問いである。
各選択肢の検討
a.誤り。希望を尋ねること自体は大切だが、今は涙の背景にある気持ちを受け止める段階である。
b.誤り。患者が話す準備を示しており、理由なく先送りする必要はない。
c.誤り。治療や支援を断念したように受け取られ、患者の苦痛に応答していない。
d.誤り。余命の話題を先に進めるより、患者が今感じていることを確かめる。
e.正しい。患者の感情に関心を向け、自由に語れるよう促している。
覚えるポイント
悪い知らせの後は沈黙を保ち、患者の感情を確認してから話を進める。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年版)
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題H(物理ページ13–27)
- 厚生労働省:第110回医師国家試験正答値表
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。