第110回医師国家試験 D46(2016年)
正答:c
問題
77 歳の男性。易転倒性と認知症とを主訴に来院した。4年前から歩行速度が遅くなっていた。4か月前から転倒や物忘れも出てきたため、心配した家族に連れられて受診した。意識は清明。体温 36.4 °C。脈拍 72/分、整。血圧 148/82 mmHg。 呼吸数 16/分。SpO₂ 98%(room air)。Mini-Mental State Examination(MMSE)は 22 点(30点満点)。上下肢の筋力と腱反射とに異常を認めない。病的反射と感覚障害とを認めない。歩行はすり足、小刻みで、歩隔は広い。頭部 MRI の T1 強調冠状断像(別冊No. 18)を別に示す。
治療として適切なのはどれか。
a.深部脳刺激療法
b.ドネペジル内服
c.脳室腹腔短絡術
d.メマンチン内服
e.レボドパ(L-dopa)内服

正答の理由
歩行障害が先行し、すり足・小刻み歩行、認知機能低下とMRIの脳室拡大を示す所見から特発性正常圧水頭症が考えられる。シャント術で髄液を腹腔へ排出する。
画像の見方
冠状断T1強調像で脳室拡大を認める。
各選択肢の検討
a.パーキンソン病などに対する治療であり、水頭症には適応しない。
b.アルツハイマー型認知症の薬で、歩行障害や脳室拡大を治療しない。
c.正しい。髄液を腹腔へ流すことで、歩行障害などの改善を期待する。
d.認知症治療薬であり、髄液循環障害そのものを是正しない。
e.パーキンソン病では用いるが、特発性正常圧水頭症の根治的治療ではない。
覚えるポイント
歩行障害を先行症状とする認知症では正常圧水頭症を疑い、シャント適応を評価する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省:第110回医師国家試験問題 D(問題冊子 p.39)
- 厚生労働省:第110回医師国家試験正答値表
- 日本正常圧水頭症学会:特発性正常圧水頭症診療ガイドライン第3版
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。