自殺企図後の救命処置|第110回医師国家試験C19

第110回医師国家試験 C19(2016年)

正答:a

問題

55 歳の女性。飛び降りによる腹部外傷のため救急車で搬入された。1 か月前に胃癌と診断され、ここ数日は絶望して気持ちが不安定になっていた。今朝、自宅マンションの 8 階から飛び降りて受傷した。大量の腹腔内出血があり救命のためには速やかな開腹止血術が必要である。ショック状態で患者の意識はなく、意思の表示はできない。患者本人は以前から癌に対する手術治療を拒否していたが、救急車で付き添って来た夫は開腹止血術や救命治療を希望している。

リスボン宣言に基づく対応はどれか。

a.速やかに開腹止血術を行う。

b.開腹止血術以外の方法で経過をみる。

c.院内倫理委員会を開催するよう要請する。

d.本人と配偶者との意見が異なるため、他の家族の意見を待つ。

e.多職種カンファレンスで方針を決定するまで治療を行わない。

正答の理由

自殺企図後に意識がなく、以前の拒否は胃癌に対する手術治療についてで、今回の外傷による止血や救命処置を拒否する明確な意思表示とは読み取れません。リスボン宣言は自殺企図で意識を失った患者について救命を試みるよう求めています。腹腔内出血で速やかな止血が必要なため、直ちに開腹止血術を行います。

各選択肢の検討

a.正答。患者の以前の意思は胃癌の手術についてで今回の救命処置の拒否を明確に示すものではなく、自殺企図後は救命を試みます。

b.止血を遅らせると死亡の危険が高まります。

c.緊急止血を倫理委員会開催まで遅らせる状況ではありません。

d.迅速な止血が必要で、家族の意見を追加で待つ時間はありません。

e.多職種カンファレンスを待つ間に救命機会を失うおそれがあります。

覚えるポイント

自殺企図後に意識がない患者では、明確な今回の拒否意思がなければ救命を試みる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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