第109回医師国家試験 H29(2015年)
正答:e
問題
29 78 歳の男性。テレビ番組の録画がうまく出来なくなったことを主訴に来院した。これまで自分の好きなテレビ番組をこまめに録画していたが、最近はほとんど録画しなくなったため心配した妻とともに受診した。妻の話によると録画装置の使い方が分からなくなったようだという。日常生活では特に問題はないが、最近、同じことを何度も聞くようになり、遠方の娘から電話がかかってきたことを忘れていることがあるという。妻と 2 人暮らし。60 歳ころから糖尿病の治療のため外来にはバスを利用して 1 人で通院している。脈拍 84/分、整。血圧 126/84 mmHg。四肢に運動麻痺を認めない。腱反射は正常である。この患者にみられる高次脳機能障害はどれか。
a.幻覚
b.失語
c.妄想
d.せん妄
e.遂行機能障害
正答の理由
録画機器の操作手順を組み立てられなくなり、これまでの目的的な行動を実行しにくくなっています。前頭葉系の計画・段取り・遂行の障害が考えられます。
各選択肢の検討
a.幻覚は外界にない知覚体験であり、記載された記憶・手順実行の低下を説明しません。
b.失語は言語の理解・表出障害ですが、会話や言語障害は記載されていません。
c.妄想は誤った確信を持つ症状で、本例の行動変化とは異なります。
d.せん妄は急性発症・変動する注意意識障害を特徴とし、徐々に進む生活上の遂行困難とは合いません。
e.録画手順や予定を組み立て実行できないことは遂行機能障害に合致します。
覚えるポイント
録画機器の操作手順を組み立てられなくなり、これまでの目的的な行動を実行しにくくなっています。前頭葉系の計画・段取り・遂行の障害が考えられます。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第109回医師国家試験問題および正答
- 第109回医師国家試験問題(H問題)
- 第109回医師国家試験正答値表
- Executive Functioning | NELFT NHS Foundation Trust
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。