羊水過多と早産徴候|第109回医師国家試験E43

第109回医師国家試験 E43(2015年)

正答:B

問題

36歳の初妊婦。妊娠28週。昨夜からの反復する腹痛を主訴に来院した。これまでの妊婦健康診査では特に異常を指摘されていなかった。1週前から腹部緊満感を自覚していた。子宮底長36 cm、腹囲95 cm。下腿に軽度の浮腫を認める。腟鏡診で分泌物は白色少量。内診で子宮口は閉鎖している。経腟超音波検査で頸管長10 mm、内子宮口の楔状の開大を認める。腹部超音波検査で胎児に明らかな形態異常はなく、胎児推定体重は1,100 g、羊水指数〈AFI〉38 cm(基準5〜25)。胎児心拍数陣痛図で10分周期の子宮収縮を認め、胎児心拍数波形に異常を認めない。

治療として適切なのはどれか。

a.塩分摂取制限

b.経腹的羊水除去

c.ループ利尿薬投与

d.プロスタグランディンF2α投与

e.非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉投与

正答の理由

2015年の公式正答はb。AFI 38 cmは重度羊水過多で、腹部緊満・反復する子宮収縮と頸管短縮を伴う。羊水除去による減圧を選択肢中の治療として選ぶ。ただし現行のSMFM勧告は、羊水除去の適応を重度羊水過多による強い母体不快感または呼吸困難に限って検討するとし、早産徴候だけを独立した適応とはしていない。NSAIDs(インドメタシン)は短期の子宮収縮抑制に用いられることがあるが、羊水量を減らすことのみを目的とする投与は推奨されない。

各選択肢の検討

a.塩分摂取制限:誤り。羊水過多や切迫早産に対する有効な治療ではない。

b.経腹的羊水除去:正しい(2015年の公式正答)。重度羊水過多の減圧を図る。ただし現行SMFMは、強い母体不快感または呼吸困難がある場合に適応を限定して検討する。

c.ループ利尿薬投与:誤り。母体への利尿薬で羊水過多を治療する方法ではない。

d.プロスタグランディンF2α投与:誤り。子宮収縮を促進し、早産徴候のある本例に適さない。

e.非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉投与:誤り。本問では羊水過多そのものへの治療としては適さない。28週の切迫早産に対する短期の子宮収縮抑制とは目的を区別し、羊水量を減らす目的だけに用いない。

覚えるポイント

重度羊水過多の治療では羊水除去の適応を母体症状も含めて判断し、NSAIDsの羊水減少目的だけの使用は避ける。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第109回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました