第109回医師国家試験 C26(2015年)
正答:e
問題
65歳の女性。動悸を訴え、外来の処置室で臥床している。
現病歴:本日、眼底検査のため来院し眼科外来の待合室の長椅子に座って待っていた。看護師が声かけしたところ、応答が鈍く、冷汗がみられた。体調について尋ねたところ、患者は動悸を訴えた。処置室へ移動するために、立ち上がろうとしたときにふらつきがみられた。処置室で臥床後も動悸は続いている。
既往歴:5年前から高血圧症と糖尿病とで内科で治療中である。カルシウム拮抗薬、利尿薬、スルホニル尿素薬およびビグアナイド薬を内服し血圧は150/92 mmHg程度、この1年間のHbA1cは8.5%程度。
生活歴:喫煙は10本/日を40年間。
家族歴:姉が脳梗塞で右片麻痺。弟が急性心筋梗塞のため60歳で死亡。
現時点でのこの患者への質問として最も適切なのはどれか。
a.「最近、食欲や体重に変わりはありませんか」
b.「最近、排尿や排便の調子はどうでしょうか」
c.「昨日の夕食の内容で心当たりはありますか」
d.「昨夜の睡眠時間は何時間だったでしょうか」
e.「今朝の食事とお薬は、いつも通りでしたか」
正答の理由
冷汗、応答の鈍さ、動悸、起立時のふらつきは低血糖を含む急な代謝異常を疑う所見です。スルホニル尿素薬を内服しているため、まず今朝の食事摂取と薬の服用状況を尋ね、低血糖を起こす状況がなかったか確認します。
各選択肢の検討
a.食欲や体重の変化は慢性疾患や甲状腺疾患などの評価には有用ですが、今起きている冷汗・意識変容の原因を急いで調べる質問としては優先度が低いです。
b.排尿・排便状況は病歴として重要ですが、急性の動悸・冷汗と服薬中の糖尿病患者という状況では、食事と血糖降下薬の摂取状況を先に確認します。
c.前日の夕食だけでは、当日の朝に生じた症状と薬剤性低血糖の関係を十分評価できません。
d.睡眠時間の聴取は現在の急変の初期評価には直結しません。
e.正しい。スルホニル尿素薬は低血糖を起こし得るため、朝食を食べたか、薬をいつ服用したかを確認することが有用です。
覚えるポイント
糖尿病治療中の急変で摂食と服薬を確認。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第109回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省:第109回医師国家試験C問題(問題冊子)
- 厚生労働省:第109回医師国家試験正答値表
- NIDDK: Low Blood Glucose (Hypoglycemia)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。