第108回医師国家試験 I52(2014年)
正答:d
問題
52 26歳の男性。歩行困難を主訴に来院した。痙性歩行、上下肢腱反射亢進および Babinski 徴候陽性を認める。頭部単純 MRI の T2 強調水平断像(別冊 No. 17A、B)、 Aと同一断面の頭部造影 MRI の T1 強調水平断像(別冊 No. 17C)及び頸椎単純 MRI の T2 強調矢状断像(別冊 No. 17D)を別に示す。血清の抗アクアポリン 4 抗体は陰性である。
最も考えられるのはどれか。
a.神経膠腫
b.転移性腫瘍
c.視神経脊髄炎
d.多発性硬化症
e.進行性多巣性白質脳症




正答の理由
T2強調像に脳室周囲を含む複数の脱髄性病変があり、一部に造影効果を認め、頸髄にも病変を認める。中枢神経の異なる部位に時間的活動性の異なる病変がある像と臨床経過から多発性硬化症が最も考えられる。抗AQP4抗体陰性だけで視神経脊髄炎を完全に否定するものではないが、本問の画像分布は多発性硬化症を支持する。
各選択肢の検討
a.誤り。神経膠腫は通常、腫瘤性病変として局所的な占拠性変化を示し、脳・脊髄に散在する脱髄性病変の分布を説明しにくい。
b.誤り。転移性腫瘍は多発することがあるが、造影病変だけでなく脳室周囲病変や頸髄病変を含む脱髄性の分布とは合いにくい。
c.誤り。視神経脊髄炎スペクトラム障害は長大な脊髄病変や視神経炎などが典型で、AQP4抗体陰性例では複数の特徴的な臨床症候と支持MRI所見が必要となる。本例の画像分布は多発性硬化症を支持する。
d.正しい。脳室周囲など複数部位の病変、一部の造影効果、頸髄病変を合わせると多発性硬化症が最も考えられる。
e.誤り。進行性多巣性白質脳症は免疫不全を背景に非対称性の白質病変を呈することが多く、本例の画像と臨床像には合いにくい。
覚えるポイント
多発性硬化症は中枢神経病変の空間的・時間的多発をMRIなどで評価する。
関連する画像診断の解説
多発性硬化症(MS)のMRI画像診断(画像診断まとめ)で、画像所見と症例を確認できます。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第108回医師国家試験問題および正答
- International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders
- Diagnosis of multiple sclerosis: 2017 revisions of the McDonald criteria
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。