第107回医師国家試験 I80(2013年)
正答:a
問題
健康診断の腹部超音波検査で肝に異常を指摘されたため、精査目的で撮影されたダイナミックCTの動脈相(別冊No. 29A)と後期相(別冊No. 29B)とを別に示す。
①と②の病変の診断で正しいのはどれか。
| 選択肢 | ① | ② |
|---|---|---|
| a | 肝嚢胞 | 肝血管腫 |
| b | 肝嚢胞 | 肝細胞癌 |
| c | 肝嚢胞 | 転移性肝癌 |
| d | 転移性肝癌 | 肝血管腫 |
| e | 転移性肝癌 | 肝細胞癌 |
| f | 転移性肝癌 | 肝嚢胞 |


正答の理由
①は辺縁平滑・壁が薄く、動脈相・後期相とも造影されない均一な水に近い低吸収域で、単純性肝嚢胞です。②は動脈相で辺縁から結節状に濃染し、後期相で造影が中心へ向かって広がり持続する(centripetal fill-in)典型的な肝血管腫の造影パターンです。肝細胞癌は動脈相の濃染と後期相の洗い出し、転移性肝癌は辺縁のリング状濃染と中心の低吸収が持続するのが典型で、②とは異なります。
画像の見方
No. 29A(動脈相):①は境界明瞭・辺縁平滑で壁が薄く、内部均一な水濃度に近い低吸収で造影されない。②は辺縁から結節状(斑状)の強い濃染があり中心部は低吸収。No. 29B(後期相):①は不変で造影効果なし。②は濃染域が中心へ広がり(fill-in)、周囲肝と同等以上の吸収値を保ち、洗い出し(washout)はみられない(独立レビューで再読影し同意。公式所見はない)。
各選択肢の検討
a.正しい。①は造影されない水濃度の嚢胞、②は辺縁結節状濃染→後期相で中心へ充填する血管腫です。
b.誤り。②は後期相で造影が持続し中心へ広がっており、動脈相濃染後に後期相で洗い出される肝細胞癌の像ではありません。
c.誤り。転移性肝癌は辺縁のリング状濃染と、後期相でも残る中心の低吸収が典型で、後期相で病変全体へ造影が広がる②とは異なります。
d.誤り。①は壁が薄く内部均一で造影効果のない病変であり、充実部やリング状濃染を示す転移性肝癌ではありません。
e.誤り。①は造影されない嚢胞で転移ではなく、②も洗い出しのない血管腫の像で肝細胞癌ではありません。
f.誤り。①と②の組合せが逆で、②は強く造影される病変であり造影されない嚢胞ではありません。
覚えるポイント
ダイナミックCT:嚢胞=造影されない水濃度、血管腫=辺縁結節状濃染→中心へfill-in、肝細胞癌=早期濃染→washout、転移=リング状濃染。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- Cystic liver lesions: a pictorial review. Insights Imaging. 2022 (PMC9287528)
- Hepatic Hemangioma: Review of Imaging and Therapeutic Strategies. Medicina (Kaunas). 2024 (PMC10972168)
- MSD Manual Professional Edition: Hepatocellular Carcinoma
- MSD Manual Professional Edition: Metastatic Liver Cancer
- Differentiating Liver Metastases from Primary Liver Cancer: A Retrospective Study of Imaging and Pathological Features in Patients with Histopathological Confirmation. Biomedicines. 2025 (PMID 39857748)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。