腸回転異常症・中腸軸捻転|第107回医師国家試験I60

第107回医師国家試験 I60(2013年)

正答:b

問題

生後15日の新生児。昨夜からの胆汁性嘔吐と血便とを主訴に来院した。上部消化管造影像(別冊No. 18)を別に示す。

この患児について正しいのはどれか。

a.腹部に腫瘤を触知する。

b.緊急手術が必要である。

c.虫垂は右下腹部にある。

d.下部消化管造影が必要である。

e.腹部超音波検査で target sign がみられる。

新生児の上部消化管造影像(正面)。造影剤は左上腹部の胃に充満し、十二指腸は細く不整に造影されて正常なC字型ループを描かない。造影された小腸ループは下腹部正中付近にまとまっている
別冊No. 18 / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

新生児の胆汁性嘔吐は、腸回転異常症に伴う中腸軸捻転を第一に考える緊急事態です。上部消化管造影で十二指腸が正常な走行を示さず、腸回転異常が示唆されます。血便は捻転による腸管虚血を疑わせ、放置すれば広範な腸管壊死から短腸症候群や死亡に至ります。緊急開腹して捻転を解除し、Ladd手術を行います。

画像の見方

胃は造影剤で充満している。幽門から出た造影剤は脊椎付近で細く途切れがちに走行し、十二指腸の正常なC字型ループと、脊椎左側・胃の高さにあるはずの十二指腸空腸移行部が確認できない。小腸は下腹部の正中付近に集簇して造影される。十二指腸の走行異常から腸回転異常を考える像であるが、螺旋状(corkscrew)の捻転像は図からは断定しない。

各選択肢の検討

a.誤り。腹部腫瘤(ソーセージ様腫瘤)の触知は腸重積症の所見で、中腸軸捻転の特徴ではありません。

b.正しい。中腸軸捻転は腸管の血流が途絶する外科的緊急症で、診断がつき次第緊急手術を行います。

c.誤り。腸回転異常では盲腸(虫垂)が右下腹部に固定されず、右上腹部や心窩部付近にあることが多いです。

d.誤り。腸回転異常の診断は上部消化管造影が第一選択で、注腸造影(盲腸の位置確認)は補助的です。血便を伴い診断がついている本例で追加検査により手術を遅らせるべきではありません。

e.誤り。target signは腸重積症の超音波所見です。腸重積は主に生後6か月〜3歳に起こり、生後15日の胆汁性嘔吐とは合いません。

覚えるポイント

新生児の胆汁性嘔吐=中腸軸捻転を疑い即評価。上部消化管造影で十二指腸走行異常→緊急手術(Ladd手術)。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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