第107回医師国家試験 I59(2013年)
正答:a
問題
58歳の女性。褐色尿を主訴に来院した。画像診断で膵頭部癌による閉塞性黄疸と診断されたが、転移巣は描出されなかった。内視鏡的逆行性胆管ドレナージで減黄術を行い、膵頭十二指腸切除術を予定した。手術開腹時に、肝両葉の表面に小結節状の転移巣を5個と、腹膜に同様の結節を十数個認めた。
対応として適切なのはどれか。
a.非切除
b.肝部分切除術
c.膵腫瘍摘出術
d.肝膵同時切除術
e.膵頭十二指腸切除術
正答の理由
術前画像では切除可能と判断された膵頭部癌でしたが、開腹時に肝両葉の多発転移と十数個の腹膜播種が見つかりました。遠隔転移を伴う膵癌は切除不能であり、原発巣や転移巣を切除しても根治は得られず、大手術の侵襲で全身化学療法の開始が遅れるだけです。膵切除は行わず(非切除)、必要に応じ転移結節の生検で病理確認して閉腹し、胆道ドレナージを維持しつつ全身化学療法と症状緩和に移ります。
各選択肢の検討
a.正しい。肝転移と腹膜播種がある膵癌は切除不能であり、膵切除を中止して化学療法・緩和治療へ移行します。
b.誤り。肝転移の一部を切除しても肝両葉の残存病変と腹膜播種が残り、予後を改善しません。
c.誤り。膵腫瘍の摘出(核出)は膵癌の根治術式ではなく、遠隔転移も残ります。
d.誤り。肝膵同時切除は侵襲が非常に大きく、腹膜播種がある以上根治にはなりません。
e.誤り。膵頭十二指腸切除術は遠隔転移のない切除可能例に行う手術で、肝転移・腹膜播種が判明した時点で適応外です。
覚えるポイント
膵癌は肝転移・腹膜播種があれば切除不能。開腹時に見つかれば非切除とし、化学療法へ。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。