第107回医師国家試験 I46(2013年)
正答:e
問題
71歳の女性。全身の皮膚と粘膜のびらんとを主訴に来院した。6日前から腰痛に対して非ステロイド性抗炎症薬を内服している。2日前から結膜充血と両頰粘膜のびらんとが、昨日から全身に紅斑とびらんとが出現した。顔面と体幹の写真(別冊No. 9A、B)を別に示す。
対応として適切でないのはどれか。
a.輸液
b.外用療法
c.血漿交換療法
d.副腎皮質ステロイドの投与
e.同一の非ステロイド性抗炎症薬の継続


正答の理由
NSAID内服開始後数日で結膜充血・口腔粘膜びらんが先行し、全身の紅斑・表皮剝離(びらん)に進展しており、薬剤性のStevens-Johnson症候群〜中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)です。治療の第一歩は被疑薬の直ちの中止で、原因薬を継続することは不適切です。
画像の見方
No. 9Aでは顔面にびまん性の紅斑があり、口唇に発赤・びらん・血痂を伴う。頸部にも紅斑と表皮剝離がある。No. 9Bでは体幹に広範な紅斑と、剝離した表皮が膜状・しわ状に残る部分やびらんがみられ、表皮壊死・剝離を示す。
各選択肢の検討
a.適切。広範なびらんでは体液喪失が大きく、補液・電解質・栄養管理が支持療法の柱です。
b.適切。皮疹部や口唇・外陰部粘膜の局所処置(創傷ケア)、二次感染予防を行います。
c.適切。国の対応マニュアルでは、ステロイドで進行を止められない重症例や重症感染症のある例に血漿交換療法を行うとされています。
d.適切。厚生労働省の対応マニュアルでは急性期にステロイド全身投与(中等症プレドニゾロン0.5〜1 mg/kg/日、重症1〜2 mg/kg/日、最重症はメチルプレドニゾロン1 g/日3日間から)を行うとされます(海外では全身免疫調整療法の有効性の根拠は限られるとされます)。
e.適切でない(正答)。被疑薬は直ちに中止するのが原則で、同じNSAIDを継続すると病態が進行します。
覚えるポイント
SJS/TEN:まず被疑薬中止、入院で輸液・局所処置・眼科管理、ステロイド全身投与、重症ならIVIG・血漿交換。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)(平成18年11月)
- MSD Manual Professional Edition: Stevens-Johnson Syndrome (SJS) and Toxic Epidermal Necrolysis (TEN)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。