第107回医師国家試験 I31(2013年)
正答:a
問題
純音聴力検査の結果(別冊No. 5)を別に示す。
考えられるのはどれか。
a.C⁵ dipがみられる。
b.気導骨導差がみられる。
c.補充現象が陽性である。
d.めまいを伴うことが多い。
e.語音明瞭度が著しく障害される。
![純音聴力検査のオージオグラム。125 Hz〜8 kHzで、右気導(○・実線)と左気導(×・破線)は2 kHzまで10〜20 dB程度だが、4 kHzで約45〜55 dBまで谷状に低下し、8 kHzで約15〜25 dBへ回復する。骨導記号([・])も気導とほぼ同じ高さにある](http://medical-exam.net/kokushi/wp-content/uploads/2026/10/107i031-figure.png)
正答の理由
両耳とも4 kHz(C⁵)に限局した谷状の聴力低下があり、8 kHzでは回復しています。これはC⁵ dipと呼ばれ、騒音性難聴の典型的なパターンです(騒音による有毛細胞障害は4 kHzから始まり、8 kHzの方が4 kHzより軽いことが他の感音難聴と異なります)。骨導も同程度に低下しているため気導骨導差はなく、感音難聴です。会話音域(500 Hz〜2 kHz)が保たれているので、初期には語音聴取への影響は小さいのが特徴です。
画像の見方
No. 5のオージオグラムでは、右気導(○・実線)と左気導(×・破線)は125 Hz〜2 kHzでおよそ5〜20 dBとほぼ正常範囲にあり、4 kHzで右約45 dB・左約55 dBまで谷状(dip)に低下し、8 kHzで右約15 dB・左約25 dBまで回復する。骨導の記号([・])は各周波数で気導とほぼ同じ高さに記録され、気導骨導差は認めない。
各選択肢の検討
a.C⁵ dipがみられる。正しい。両耳とも4 kHzで谷状に低下し8 kHzで回復しており、騒音性難聴に典型的なC⁵ dipです。
b.気導骨導差がみられる。誤り。骨導閾値が気導閾値とほぼ一致しており、気導骨導差はありません。伝音難聴ではなく感音難聴です。
c.補充現象が陽性である。誤り(本問の公式正答に含まれない)。補充現象は純音聴力図からは判定できず、SISI検査などの閾値上検査で評価します。なお騒音性難聴は内耳(感覚細胞)性の障害であり、MSDの表でも感覚性難聴では補充現象が「あり」とされるため、障害周波数で検査すれば陽性となりうる点には留保があります。
d.めまいを伴うことが多い。誤り。騒音性難聴は蝸牛の有毛細胞障害で、前庭症状は通常伴いません。難聴にめまい・耳閉感・耳鳴を繰り返す場合はMénière病などを考えます。
e.語音明瞭度が著しく障害される。誤り。会話音域(500 Hz〜2 kHz)の聴力が保たれており、語音明瞭度は大きく低下しません。語音明瞭度の著しい低下は後迷路(神経)性難聴の特徴です。
覚えるポイント
4 kHz限局の谷(C⁵ dip)+8 kHzで回復=騒音性難聴。気導骨導差なしの感音難聴で、初期は会話音域が保たれる。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。