第107回医師国家試験 I30(2013年)
正答:a
問題
乳癌の治療薬として適切でないのはどれか。
a.エストロゲン
b.LH-RHアゴニスト
c.アロマターゼ阻害薬
d.分子標的薬(トラスツズマブ)
e.アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬
正答の理由
乳癌の多くはエストロゲン受容体陽性で、エストロゲンが増殖を促します。このためホルモン療法は、タモキシフェンで受容体を遮断するか、閉経前ではLH-RHアゴニストによる卵巣機能抑制、閉経後ではアロマターゼ阻害薬でエストロゲン産生を抑える方向で行います。エストロゲンを補うことは治療方針と逆で、閉経後ホルモン療法(エストロゲン+プロゲスチン)は乳癌リスクを高めることも示されています。
各選択肢の検討
a.エストロゲン。正しい(適切でない)。ホルモン受容体陽性乳癌の増殖を促す方向に働き、乳癌の標準的治療薬ではありません。
b.LH-RHアゴニスト。誤り(適切)。下垂体を脱感作して卵巣からのエストロゲン分泌を抑え、閉経前ホルモン受容体陽性乳癌の卵巣機能抑制に用います。
c.アロマターゼ阻害薬。誤り(適切)。脂肪組織などでのアンドロゲンからエストロゲンへの変換を阻害し、閉経後ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法の中心です。
d.分子標的薬(トラスツズマブ)。誤り(適切)。HER2に対するモノクローナル抗体で、HER2陽性乳癌に化学療法と併用し再発・死亡を減らします。心毒性に注意します。
e.アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬。誤り(適切)。ドキソルビシンなどはAC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)として乳癌の術前・術後化学療法や転移例に用いられます。
覚えるポイント
乳癌ホルモン療法はエストロゲンを「減らす・遮断する」:閉経前はLH-RHアゴニスト+タモキシフェン、閉経後はアロマターゼ阻害薬。HER2陽性はトラスツズマブ。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。