小児上腕骨顆上骨折|第107回医師国家試験I18

第107回医師国家試験 I18(2013年)

正答:c

問題

男児の左肘のエックス線写真(別冊No. 4A、B)を別に示す。

診断として正しいのはどれか。

a.肘関節脱臼骨折

b.Monteggia骨折

c.上腕骨顆上骨折

d.上腕骨外側顆骨折

e.上腕骨遠位骨端離開

左肘正面像。上腕骨遠位の骨幹端に横走する骨折線があり、骨折部の内外側で皮質が段差状に突出している。橈骨・尺骨近位端は顆部と対向している
別冊No. 4A / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)
左肘側面像。上腕骨骨幹の遠位端と、上腕骨小頭の骨化核を含む遠位骨片とが完全に離れ、遠位骨片が前腕骨とともに後方へ転位している
別冊No. 4B / 出典:厚生労働省・第107回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

小児の肘で、骨折線が関節面より近位の上腕骨遠位骨幹端(顆上部)を横走し、側面像で遠位骨片が前腕骨と一緒に後方へ転位しています。前腕骨と遠位骨片との関係は保たれており、肘関節自体の脱臼ではありません。上腕骨顆上骨折(伸展型、完全転位)と診断します。顆上骨折は3〜11歳の小児に多い肘周囲骨折で、手をついて肘伸展位で転倒する機序が典型です。後方転位例では上腕動脈・正中神経などの損傷やコンパートメント症候群(Volkmann拘縮)に注意します。

画像の見方

No. 4A(正面像)では上腕骨遠位の顆部より近位、骨幹端の高さに横走する骨折線があり、骨折部で皮質がずれている。No. 4B(側面像)では上腕骨骨幹の遠位端と、上腕骨小頭の骨化核を含む遠位骨片とが完全に離れ、遠位骨片は肘頭・前腕骨とともに後方へ転位している。橈骨頭と遠位骨片(小頭)、尺骨と遠位骨片の対向は保たれてみえる。

各選択肢の検討

a.肘関節脱臼骨折。誤り。前腕骨(橈骨・尺骨)と遠位骨片(上腕骨小頭)との対向は保たれており、転位しているのは骨幹端で折れた上腕骨遠位部です。肘関節の脱臼ではありません。

b.Monteggia骨折。誤り。尺骨近位部骨折に橈骨頭脱臼を伴う前腕骨折で、本画像では尺骨に骨折がなく、橈骨頭も小頭と対向しています。

c.上腕骨顆上骨折。正しい。骨折線が顆部より近位の骨幹端を横走し、側面像で遠位骨片が後方へ完全転位した伸展型顆上骨折の所見です。

d.上腕骨外側顆骨折。誤り。外側顆骨折は外側顆(小頭を含む外側部分)だけが斜めの骨折線で分かれる関節内骨折で、本例のように骨幹端全幅を横断して遠位部全体が転位する像とは異なります。小児肘骨折では顆上骨折に次いで多い型です。

e.上腕骨遠位骨端離開。誤り。骨端線(成長軟骨板)での分離で、小頭の骨化核が未出現または小さい乳幼児に多く、前腕骨が上腕骨軸からずれるため脱臼と紛らわしい損傷です。本例は骨化核の近位の骨幹端に骨折線があり、骨端線での分離ではありません。

覚えるポイント

小児の肘骨折で最多は上腕骨顆上骨折(次いで外側顆骨折)。伸展型の後方転位は神経血管損傷とVolkmann拘縮に注意。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第107回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました