直腸癌の病期診断|第107回医師国家試験H28

第107回医師国家試験 H28(2013年)

正答:a

問題

63歳の女性。血便を主訴に来院した。4か月前から便に血が混じるようになり、持続しているため心配して受診した。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧124/66 mmHg。血液所見:赤血球350万、Hb 10.3 g/dl、Ht 30%、白血球6,600、血小板35万。血液生化学所見:総蛋白6.2 g/dl、アルブミン3.3 g/dl、AST 25 IU/l、ALT 33 IU/l、LD 300 IU/l(基準176〜353)。注腸造影像(別冊No. 7A)と肛門縁から3 cmの部位の大腸内視鏡像(別冊No. 7B)とを別に示す。

次に行う検査として適切なのはどれか。

a.胸腹部CT

b.直腸内圧測定

c.腹部血管造影

d.超音波内視鏡検査

e.半年後の大腸内視鏡検査

注腸造影像。直腸下部に不整な陰影欠損と粘膜の途絶があり、肛門側にカテーテルが挿入されている
別冊No. 7A / 出典:厚生労働省・第107回H別冊(原本の該当ページ)
大腸内視鏡像(肛門縁から3 cm)。周堤を伴う不整形の潰瘍性腫瘍が管腔の半周以上を占め、易出血性である
別冊No. 7B / 出典:厚生労働省・第107回H別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

持続する血便と貧血があり、注腸造影で下部直腸の不整な陰影欠損、内視鏡で肛門縁から3 cmの部位に周堤を伴う潰瘍性腫瘍(2型様)を認め、下部直腸癌と考えられます。次は治療方針を決めるための病期診断で、肺・肝など遠隔転移の有無を胸腹部CTで評価します。なお局所の深達度・リンパ節評価には骨盤MRIや超音波内視鏡(直腸腔内超音波)も用いられ、現行の診療では併用されますが、公式正答は遠隔転移の評価を優先するCTです。

画像の見方

7A:注腸造影で直腸下部(カテーテル先端付近)に不整な陰影欠損と辺縁の不整があり、腫瘍性病変を示す。7B:肛門縁から3 cmの直腸に、隆起した周堤と中央の汚い潰瘍底をもつ不整形の腫瘍があり、易出血性で管腔の半周以上を占める。2型進行癌を考える所見。

各選択肢の検討

a.正しい。遠隔転移(肝・肺など)の有無を評価し病期を決める胸腹部CTが、次に行う検査として適切です。

b.誤り。直腸内圧測定は排便機能(肛門括約筋機能)の評価で、癌の病期診断には用いません。

c.誤り。腹部血管造影は診断が確定した大腸癌の病期診断の標準検査ではありません。

d.誤り。超音波内視鏡(直腸腔内超音波)は深達度と所属リンパ節の局所評価に有用ですが、遠隔転移は評価できず、出題時の公式正答では遠隔転移を調べるCTが優先されています。

e.誤り。進行癌が疑われる病変を半年間放置することは不適切で、速やかに病期診断と治療に進みます。

覚えるポイント

直腸癌と診断したら、治療方針を決めるため胸腹部(〜骨盤)CTで遠隔転移を評価する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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