サリン中毒の解毒治療(アトロピン)|第107回医師国家試験G65

第107回医師国家試験 G65(2013年)

正答:a

問題

次の文を読み、63〜65の問いに答えよ。

25歳の男性。気分不良を主訴に来院した。

現病歴:官庁街近くのレストランで昼食をとっていたところ「液体のようなものがまかれた」という声がして、レストラン内で数人が倒れた。気分が悪くなったためレストランから飛び出し、徒歩で近くの病院を受診した。会話は可能であり、目の前が暗く感じ、鼻水が止まらないと訴えている。

まず行うべき治療はどれか。

a.アトロピンの静脈内投与

b.ジアゼパムの筋肉内投与

c.アドレナリンの静脈内投与

d.ネオスチグミンの内服投与

e.亜硝酸ナトリウムの静脈内投与

正答の理由

神経剤(サリン)によるアセチルコリン過剰には、ムスカリン受容体でアセチルコリンを遮断するアトロピンをまず静注します。気道分泌・気管支攣縮が改善するまで反復し、ニコチン受容体側(筋力低下など)にはプラリドキシム(2-PAM)を併用します。用量の目安は縮瞳や心拍の正常化ではなく気道分泌の消失です。

各選択肢の検討

a.正しい。アトロピンはムスカリン様症状(気道分泌・気管支攣縮・徐脈など)を拮抗する第一の解毒薬で、2-PAMと併用します。

b.誤り。ベンゾジアゼピン(ジアゼパム、現在はミダゾラムが推奨)は神経剤によるけいれんに用いる薬で、けいれんのない本例でまず行う治療ではありません。

c.誤り。アドレナリンはアナフィラキシーや心停止に用いる薬で、コリン作動性症状を拮抗しません。

d.誤り。ネオスチグミンはコリンエステラーゼ阻害薬で、アセチルコリン過剰をさらに悪化させます。同じ阻害薬のピリドスチグミンも、コリン作動性クリーゼの発症後には投与しないとされています。

e.誤り。亜硝酸ナトリウムはシアン化合物中毒の解毒薬で、神経剤には効果がありません。

覚えるポイント

神経剤(サリン)の治療は除染+アトロピン(ムスカリン症状)+2-PAM(ニコチン症状)、けいれんにはベンゾジアゼピン。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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