化学テロ被災者の除染(脱衣)|第107回医師国家試験G63

第107回医師国家試験 G63(2013年)

正答:e

問題

次の文を読み、63〜65の問いに答えよ。

25歳の男性。気分不良を主訴に来院した。

現病歴:官庁街近くのレストランで昼食をとっていたところ「液体のようなものがまかれた」という声がして、レストラン内で数人が倒れた。気分が悪くなったためレストランから飛び出し、徒歩で近くの病院を受診した。会話は可能であり、目の前が暗く感じ、鼻水が止まらないと訴えている。

病院の受付から報告を受け、患者を他の患者と接触のない救急室の一室に隔離するよう指示した。

最初に行うべきなのはどれか。

a.警察に問い合わせる。

b.動脈血ガスを測定する。

c.バイタルサインをチェックする。

d.症状と発症時の状況とを詳しく聞く。

e.患者に服を脱いでもらい、密封できる袋に詰めてもらう。

正答の理由

「液体がまかれた」直後に複数人が倒れ、縮瞳(目の前が暗い)と鼻汁が出ており、サリンなどの神経剤による化学テロが疑われます。現場の除染を受けずに自力で来院した患者は、衣服に付着した化学剤が揮発し続けて本人の吸入・経皮吸収と医療従事者・他患者への二次汚染を起こします。会話可能で全身状態が保たれているので、まず脱衣(乾的除染)を行い、衣服は密閉できる袋に入れます。脱衣だけで汚染の大部分(約90%)を除去できるとされます。

各選択肢の検討

a.誤り。警察・行政への通報は必要ですが、目の前の患者の汚染除去と二次汚染防止より先に行うことではありません。

b.誤り。動脈血ガスは診療エリアで行う評価で、汚染衣服のまま採血・診療を始めると医療従事者が二次汚染を受けます。

c.誤り。会話可能で急変していない患者では、汚染源である衣服を除去する除染が先です。脱衣後に安全な状況で評価します。

d.誤り。詳しい問診は除染後でよく、汚染衣服を着たまま時間をかけると本人の曝露と周囲への二次汚染が続きます。

e.正しい。脱衣は最も簡便で効果の大きい除染で、曝露後できるだけ早く(10分以内を目標に)行い、脱いだ衣服は袋に密封して汚染拡散を防ぎます。

覚えるポイント

化学テロで自力来院した被災者は、診療より先にまず脱衣(衣服は密閉袋へ)=乾的除染で本人の曝露と二次汚染を断つ。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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