アナフィラキシーショックの初期輸液|第107回医師国家試験E63

第107回医師国家試験 E63(2013年)

正答:a・b

問題

次の文を読み、61〜63の問いに答えよ。

20歳の男性。目が開きにくいことを主訴に来院した。

現病歴:山菜採りに行き、右前腕を虫に刺され痛みを感じたが、そのままにして昼食をとった。食後、約30分してから両眼瞼が開きにくくなり、息苦しさを自覚するようになったため、友人に連れられて来院した。

既往歴:5歳で気管支喘息。

生活歴:山菜採りが趣味で、虫に刺されることが多い。

家族歴:特記すべきことはない。

現症:意識レベルはJCS Ⅱ-10。体温37.5℃。脈拍100/分、整。血圧80/50 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 85%(room air)。呼びかけると息苦しさを訴えせき込む。心音に異常を認めない。頸部と胸部とにwheezesを聴取する。頸静脈の怒張を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹に膨疹を多数認める。顔面の写真(別冊No. 9)を別に示す。

血圧低下が持続したため、急速輸液を行った。

輸液の組成で適切なのはどれか。2つ選べ。

選択肢 Na+(mEq/l) K+(mEq/l) Cl−(mEq/l) ブドウ糖(%)
a 154 0 154 0
b 130 4 109 0
c 50 30 50 12.0
d 35 20 35 4.3
e 0 0 0 5.0
顔面の写真。両側の上下眼瞼が著明に腫脹し、眼裂が狭くなっている
別冊No. 9 / 出典:厚生労働省・第107回E別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

アナフィラキシーショックでは血管透過性亢進と血管拡張で循環血漿量が急激に減るため、持続する低血圧には細胞外液と同程度の張度をもつ等張晶質液(生理食塩液、乳酸リンゲル液)を急速投与します。aは0.9%生理食塩液(Na・Clとも154 mEq/l)、bは乳酸リンゲル液(Na 130、K 4、Cl 109 mEq/l)の組成です。低張液やブドウ糖液は血管内にとどまる量が少なく、蘇生輸液に適しません。

画像の見方

両側の上眼瞼・下眼瞼が発赤を伴ってびまん性に腫脹し、眼瞼が開きにくい状態(眼瞼の血管性浮腫)。

各選択肢の検討

a.正しい。0.9%生理食塩液(Na 154 mEq/l、Cl 154 mEq/l)は等張晶質液で、ショック時の容量補充に用います。

b.正しい。Na 130、K 4、Cl 109 mEq/lは乳酸リンゲル液(ラクテック注など)の組成で、等張の細胞外液補充液として急速輸液に適します。

c.誤り。Na 50 mEq/lと低張でK 30 mEq/l・ブドウ糖12%を含む維持輸液系の組成で、K含有のため急速投与はできず、血管内容量も保ちにくいです。

d.誤り。Na 35、K 20、Cl 35 mEq/l、ブドウ糖4.3%はソリタ-T3号などの維持液(3号液)の組成で、Na濃度が低く自由水が多いため血管内にとどまりにくく、ショックの急速輸液には不適切です(大量・急速投与で水中毒や高K血症のおそれもあります)。

e.誤り。5%ブドウ糖液はブドウ糖が代謝されると自由水となり全身の水分区画に分布するため、循環血漿量の補充には役立ちません。

覚えるポイント

ショックの急速輸液は等張晶質液(生理食塩液・乳酸リンゲル液)。低張液・5%ブドウ糖液は使わない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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