第107回医師国家試験 E56(2013年)
正答:d・e
問題
6か月の乳児。嘔吐と下痢とを主訴に来院した。2日前の健康診査で身長67 cm、体重7,520 gであった。昨日から嘔吐が出現し、本日になり白っぽい下痢が頻回となったため受診した。受診時、体重6,670 g、体温37.2℃。心拍数136/分、整。血圧64/40 mmHg。血液生化学所見:尿素窒素42 mg/dl、クレアチニン0.6 mg/dl、Na 128 mEq/l、K 3.2 mEq/l、Cl 88 mEq/l。
この児で考えられるのはどれか。2つ選べ。
a.腱反射亢進
b.不穏興奮状態
c.大泉門の膨隆
d.皮膚緊張度の低下
e.意識レベルの低下
正答の理由
嘔吐と白っぽい下痢が続き、2日間に体重が7,520 gから6,670 gへ850 g(約11%)減っており、重症脱水です。Na 128 mEq/lの低張性脱水では水が細胞外から細胞内・間質へ移り循環血漿量がより減るため、血圧低下(64/40 mmHg)や尿素窒素上昇を伴いやすい。重症脱水では皮膚緊張度(ツルゴール)の低下や嗜眠などの意識レベル低下がみられます。
各選択肢の検討
a.誤り。腱反射亢進などの神経筋の興奮性亢進は高Na血症(高張性脱水)でみられる所見で、低張性脱水の本例では考えにくい。
b.誤り。不穏・興奮状態も高張性脱水で目立つ症状で、循環不全が進んだ低張性の重症脱水ではむしろ活気低下・嗜眠となります。
c.誤り。脱水では大泉門は陥凹します。膨隆は髄膜炎など頭蓋内圧亢進を示す所見です。
d.正しい。体重の約11%を失った重症脱水では、皮膚をつまんだ後の戻りが遅い皮膚緊張度の低下がみられます。
e.正しい。重症脱水では循環不全と低Na血症により傾眠・嗜眠などの意識レベル低下がみられます。
覚えるポイント
短期間の体重減少率で脱水の程度を評価し、10%以上は重症。低張性では循環不全が早く、高張性では興奮・腱反射亢進が目立つ。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Dehydration in Children
- MSD Manual Professional Edition: Hypernatremia
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。