第107回医師国家試験 E33(2013年)
正答:c・e
問題
正常妊娠において母体血中に比較し胎児血中で高値であるのはどれか。2つ選べ。
a.IgA
b.グルコース
c.ヘモグロビンF
d.動脈血酸素分圧
e.α-フェトプロテイン〈AFP〉
正答の理由
胎児の赤血球は55〜90%がヘモグロビンF(HbF)で、成人型より酸素親和性が高く、低い酸素分圧でも酸素を受け取れます。AFPは主に胎児の肝臓で作られる蛋白で、その一部が胎盤を通って母体血へ移行するため、胎児血中濃度の方が高くなります。グルコースは母体から胎盤を介して濃度勾配に沿って胎児へ移行するため胎児の方が低く、胎児の動脈血酸素分圧は約25mmHgと低値です。
各選択肢の検討
a.IgA。誤り。胎盤を有意に通過する抗体はIgGのみで、胎児自身のIgAは妊娠30週ころに微量検出される程度のため、母体より低値です。
b.グルコース。誤り。胎児のグルコースは母体から胎盤を介して濃度勾配に沿って供給され、母体→胎児のグルコース勾配(約1.2mmol/L)があるため胎児血の方が低値です。
c.ヘモグロビンF。正しい。胎児赤血球ではHbFが大部分を占め、成人の母体血ではごく微量です。
d.動脈血酸素分圧。誤り。胎児の動脈血酸素分圧は約25mmHgで、母体動脈血よりはるかに低く、HbFの高い酸素親和性で酸素を確保しています。
e.α-フェトプロテイン〈AFP〉。正しい。AFPは胎児肝で産生され、その一部だけが母体血へ移行するため胎児血中の方が高値です。
覚えるポイント
胎児血で高いのはHbFとAFP。IgGは胎盤を通るがIgAは通らない。グルコースと酸素分圧は胎児で低い。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Perinatal Physiology
- IgG placental transfer in healthy and pathological pregnancies (Clin Dev Immunol 2012)
- Placental glucose transfer: a human in vivo study (PLoS One 2015)
- MedlinePlus: Alpha-Fetoprotein (AFP) Test
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。