第107回医師国家試験 E12(2013年)
正答:d
問題
Th2(ヘルパーT細胞のサブセット)について誤っているのはどれか。
a.液性免疫を活性化する。
b.Th1細胞応答を抑制する。
c.寄生虫感染で活性化される。
d.マクロファージを活性化する。
e.インターロイキン4〈IL-4〉を産生する。
正答の理由
Th2細胞はIL-4・IL-5・IL-13を産生し、B細胞の抗体産生(IgEへのクラススイッチを含む)を促す液性免疫と、蠕虫など寄生虫への防御・アレルギー炎症を担います。マクロファージを殺菌的に活性化(古典的活性化)するのはIFN-γを産生するTh1細胞の働きで、出題当時の標準的な区分でdが誤りです。なお現在は、IL-4・IL-13がマクロファージを「代替的活性化(M2)」の状態に誘導することも知られており、厳密には「Th2がマクロファージに全く作用しない」わけではない点に留意します。
各選択肢の検討
a.液性免疫を活性化する。誤り(正しい記述)。Th2細胞はB細胞による抗体産生(液性免疫)を強く促進し、IL-4はIgEへのクラススイッチを誘導します。
b.Th1細胞応答を抑制する。誤り(正しい記述)。Th1とTh2は互いの活性を抑制し合い、Th2のサイトカイン(IL-4など)はTh1応答を抑えます。
c.寄生虫感染で活性化される。誤り(正しい記述)。Th2は蠕虫などの寄生虫感染で誘導され、IL-5による好酸球動員などで排除に働きます。
d.マクロファージを活性化する。正しい(誤っている記述)。出題の前提は、マクロファージを殺菌的に活性化する(古典的活性化、M1)のはIFN-γを産生するTh1細胞であり、Th2は液性免疫を担うという古典的な区分です。ただし現在の免疫学では、Th2由来のIL-4・IL-13がマクロファージを代替活性化(M2)すると説明され、総説でも「Th2はM2マクロファージを活性化する」と記載されるため、この肢を厳密に誤りと言い切るのは難しい点に注意します。公式正答はdです。
e.インターロイキン4〈IL-4〉を産生する。誤り(正しい記述)。IL-4はTh2の代表的なサイトカインで、Th2分化そのものも促進します。
覚えるポイント
Th1=IFN-γでマクロファージ活性化(細胞性免疫)、Th2=IL-4/5/13で抗体産生・寄生虫・アレルギー(液性免疫)。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- Cellular Components of the Immune System(MSD Manual Professional Edition)
- CD4 T Helper Cell Subsets and Related Human Immunological Disorders(Int J Mol Sci 2020)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。