聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)|第107回医師国家試験D51

第107回医師国家試験 D51(2013年)

正答:c・e

問題

53歳の男性。3か月前からの右耳鳴を主訴に来院した。鼓膜に異常を認めない。頭部造影MRIのT1強調像(別冊No. 25)を別に示す。

この患者の右側の検査所見として予想されるのはどれか。2つ選べ。

a.混合性難聴

b.角膜反射消失

c.半規管機能低下

d.ティンパノグラムB型

e.聴性脳幹反応〈ABR〉I-V波間の潜時延長

頭部造影MRI T1強調横断像(内耳道レベル)。右内耳道〜内耳孔部に造影される小さな卵円形の腫瘤
別冊No. 25 / 出典:厚生労働省・第107回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

片側(右)の耳鳴で鼓膜は正常、造影T1強調像では右内耳道に沿って造影される腫瘤があり、聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)と考えられます。腫瘍は多くが第Ⅷ脳神経の前庭神経から発生するため、温度刺激検査で患側の半規管機能低下(canal paresis)を示し、蝸牛神経の伝導が障害されるためABRではⅤ波の潜時延長(Ⅰ-Ⅴ波間潜時の延長)や波形消失がみられます。難聴は感音難聴です。

画像の見方

内耳道レベルの造影T1強調横断像で、画像左側(患者の右側)の内耳道から内耳孔部にかけて、周囲の脳実質より高信号に造影される小さな卵円形の腫瘤を認める。対側(左)の内耳道には同様の造影腫瘤は明らかでない。脳幹の圧排や水頭症はみられない。

各選択肢の検討

a.誤り。聴神経腫瘍の難聴は後迷路性の感音難聴で、鼓膜・中耳は正常なので伝音成分を伴う混合性難聴にはなりません。

b.誤り。角膜反射消失は腫瘍が大きくなり小脳橋角部で三叉神経を圧迫した段階の所見です。本例は内耳道を中心とする比較的小さな腫瘍で、耳鳴のみの段階では予想されません。

c.正しい。前庭神経由来の腫瘍のため、温度刺激検査で患側の前庭機能(半規管機能)低下を示します。

d.誤り。ティンパノグラムB型は滲出性中耳炎など中耳腔の液体貯留を示します。鼓膜正常の本例ではA型が予想されます。

e.正しい。蝸牛神経〜脳幹の伝導遅延により、ABRでⅤ波潜時延長(Ⅰ-Ⅴ波間潜時延長)や波形の消失がみられます。

覚えるポイント

片側の耳鳴・感音難聴は聴神経腫瘍を疑い、造影MRIで確認。温度眼振検査で患側低下、ABRでⅠ-Ⅴ波間潜時延長。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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