褐色細胞腫クリーゼ|第107回医師国家試験D33

第107回医師国家試験 D33(2013年)

正答:c

問題

57歳の女性。3年前から糖尿病と胆石症とを指摘されている。胆石症の経過観察として外来で行われていた腹部超音波検査中に突然強い頭痛と動悸とを訴え苦しがり始めた。意識は清明。脈拍120/分、整。血圧240/160 mmHg。呼吸数20/分。著明な発汗と四肢末梢の冷感とを認める。治療によって症状が安定した後に実施した腹部造影CT(別冊No. 14)を別に示す。

考えられるのはどれか。

a.腎細胞癌

b.肝細胞癌

c.褐色細胞腫

d.インスリノーマ

e.原発性アルドステロン症

腹部造影CT横断像。左副腎領域に、内部に低吸収域を伴って不均一に造影される腫瘤がある
別冊No. 14 / 出典:厚生労働省・第107回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

腹部超音波検査のプローブによる圧迫を契機に、突然の激しい頭痛・動悸・発汗、著明な高血圧(240/160 mmHg)と頻脈、末梢の冷感(血管収縮)が出現しており、カテコラミン過剰分泌による発作です。腹部造影CTでは左副腎に、内部に低吸収域を伴い不均一に造影される腫瘤があります。糖尿病(カテコラミンによる耐糖能異常)も合わせ、褐色細胞腫と考えられます。腫瘍の触診や腹部圧迫は発作の誘因として知られます。

画像の見方

左腎上極の前内側(左副腎領域)に、辺縁が不均一に造影され内部に低吸収域(壊死・囊胞変性を疑う)を伴う腫瘤がある。肝・右副腎には明らかな腫瘤を認めない。

各選択肢の検討

a.誤り。腎細胞癌は腎実質の腫瘍で、腹部圧迫を契機とした発作性の著明な高血圧・頭痛・発汗は起こしません。

b.誤り。肝細胞癌は肝臓の腫瘍で、本CTの病変は肝外の左副腎領域にあり、カテコラミン発作も説明できません。

c.正しい。腹部圧迫で誘発された頭痛・動悸・発汗を伴う高血圧発作と左副腎腫瘤から褐色細胞腫と考えます。

d.誤り。インスリノーマは膵β細胞腫瘍で、主症状は空腹時の低血糖(頭痛・錯乱などの神経症状を含む)です。腹部圧迫で誘発される著明な高血圧発作と副腎腫瘤は説明できません。

e.誤り。原発性アルドステロン症は副腎皮質からのアルドステロン自律分泌による高血圧と低カリウム血症が特徴で、原因の多くは片側の副腎腺腫です。腹部圧迫で誘発される発作性の高血圧・頭痛・動悸・発汗は特徴ではありません。

覚えるポイント

腹部圧迫・触診で誘発される発作性高血圧+頭痛・動悸・発汗+副腎腫瘤は褐色細胞腫。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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