延髄外側症候群(Wallenberg症候群)|第107回医師国家試験D6

第107回医師国家試験 D6(2013年)

正答:c

問題

延髄組織の髄鞘染色(Klüver-Barrera染色)標本(別冊No. 2)を別に示す。

この病変による症状として考えられるのはどれか。

a.片麻痺

b.瞳孔散大

c.嚥下障害

d.深部感覚障害

e.起立性低血圧

延髄横断面のKlüver-Barrera染色標本(上が背側、下が腹側)。図の右側の背外側部が広く淡染して髄鞘が脱落し、腹側の錐体・下オリーブ核・正中部は青く保たれている
別冊No. 2 / 出典:厚生労働省・第107回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

髄鞘染色で延髄の片側背外側(図の右上〜右外側)が淡染して髄鞘が脱落しており、腹側の錐体と正中寄りの内側毛帯、下オリーブ核は保たれています。延髄外側梗塞(Wallenberg症候群)の分布で、疑核の障害による嚥下障害・構音障害、同側Horner症候群、同側顔面と対側半身の温痛覚障害、めまい・失調が典型です。

画像の見方

上方に「背側」、下方に「腹側」の表示。延髄の片側(図の右側)背外側から外側にかけて広範な淡染域(髄鞘脱落)があり、下小脳脚・脊髄視床路・三叉神経脊髄路核・疑核の領域に相当する。腹側の錐体、両側の下オリーブ核、正中の内側毛帯は青染して保たれ、対側(図の左側)はほぼ正常。

各選択肢の検討

a.片麻痺。誤り。錐体路は延髄腹側を走り本病変では保たれているため、古典的な延髄外側症候群では四肢の麻痺を伴いません。

b.瞳孔散大。誤り。下行性交感神経路の障害で同側のHorner症候群(縮瞳)となり、瞳孔散大ではありません。

c.嚥下障害。正しい。疑核の障害により嚥下障害・嗄声が高頻度に生じます。

d.深部感覚障害。誤り。古典的な延髄外側症候群の感覚障害は同側顔面と対側半身の温痛覚障害(脊髄視床路・三叉神経脊髄路の障害)で、延髄内側を上行する内側毛帯(深部感覚)は通常保たれます。なお延髄尾側の外側梗塞では交叉前の楔状束核付近が障害され、同側手指の固有感覚障害を生じたまれな報告があります。

e.起立性低血圧。誤り。起立性低血圧は多系統萎縮症などの自律神経不全でみられる症状で、延髄外側症候群の古典的症状(めまい・複視・構音障害・Horner症候群・交叉性感覚障害・嚥下障害)には含まれません。

覚えるポイント

延髄外側(Wallenberg):嚥下障害・嗄声、同側Horner(縮瞳)、交叉性温痛覚障害、失調。片麻痺・深部感覚障害はない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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