呼吸性移動を示す腹部腫瘤|第107回医師国家試験C8

第107回医師国家試験 C8(2013年)

正答:b

問題

腹部触診で呼吸に応じて移動する腫瘤はどれか。

a.膵囊胞

b.胆囊癌

c.腹部大動脈瘤

d.腹膜偽粘液腫

e.Krukenberg 腫瘍

正答の理由

横隔膜直下にある肝臓は深吸気で下降し、触診では肝縁が指先に触れてきます。胆囊は肝下面に付着しており、腫大した胆囊は肝と同様に吸気で下方へ移動する柔らかい円形の腫瘤として触れるため、胆囊癌などの胆囊腫瘤も呼吸性に移動します。後腹膜臓器(膵、大動脈)や骨盤内腫瘤、腹膜全体に広がる病変は呼吸による移動を示しにくいです。

各選択肢の検討

a.膵囊胞。誤り。膵は後腹膜に固定された臓器で、膵の囊胞性腫瘤は呼吸による移動がほとんどありません。

b.胆囊癌。正しい。胆囊は肝下面に付着しており、腫大した胆囊は肝と同じく吸気で下方へ移動する腫瘤として右季肋下に触れます。胆囊癌による腫瘤も同様に呼吸性移動を示します。

c.腹部大動脈瘤。誤り。後腹膜の大動脈から生じる腫瘤で、呼吸性移動ではなく拍動性腫瘤として触れるのが特徴です。

d.腹膜偽粘液腫。誤り。粘液を産生する腫瘍細胞が腹腔・骨盤内の腹膜面に広く貯留する病態で、限局した可動性腫瘤ではなく腹部膨隆として現れます。

e.Krukenberg 腫瘍。誤り。胃癌などの卵巣転移で、骨盤内(付属器)の腫瘤であり、横隔膜の動きに伴って移動する上腹部腫瘤ではありません。

覚えるポイント

呼吸性移動を示すのは横隔膜に接する肝・胆囊(・脾・腎)の腫瘤。後腹膜(膵・大動脈)や骨盤内腫瘤は動きにくい。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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