第107回医師国家試験 C3(2013年)
正答:e
問題
水溶性ヨード造影剤の副作用について正しいのはどれか。
a.死亡例は報告されていない。
b.予防に飲水制限が必須である。
c.アナフィラキシー様反応は投与直後には起こらない。
d.腎機能低下は造影剤腎症のリスクファクターでない。
e.気管支喘息はアナフィラキシー様反応のリスクファクターである。
正答の理由
ヨード造影剤の急性副作用はアナフィラキシー様(非アレルギー性過敏)反応が中心で、既往の造影剤反応・気管支喘息・アレルギー体質が危険因子です。重症例では気道浮腫・ショック・心肺停止に至ります。造影剤腎症の危険因子は既存の腎機能低下・糖尿病・脱水などで、予防は補液(水分負荷)です。
各選択肢の検討
a.死亡例は報告されていない。誤り。ヨード造影剤の電子添文は重大な副作用としてショック(遅発性を含む)を挙げ、呼吸停止・心停止に至ることがあると記載しています。国内33万例超の前向き調査(Katayama 1990)でもイオン性・非イオン性の各群で1例ずつ死亡が報告されています(造影剤との因果関係は確定されていません)。頻度は低いものの致死的になりうる副作用です。
b.予防に飲水制限が必須である。誤り。脱水は造影剤腎症の危険因子で、電子添文も「適切な水分補給を行うこと」「投与前に極端な水分制限はしないこと」としています。リスクのある患者には補液が予防策です。
c.アナフィラキシー様反応は投与直後には起こらない。誤り。反応には即時型と遅発型があり、即時型は投与中・投与直後から起こりうるため、電子添文は投与開始時から患者の状態を観察し、投与後も観察を続けるよう求めています。
d.腎機能低下は造影剤腎症のリスクファクターでない。誤り。既存の腎機能低下(血清クレアチニン上昇)は造影剤腎症の代表的な危険因子です。
e.気管支喘息はアナフィラキシー様反応のリスクファクターである。正しい。造影剤反応の既往、喘息、アレルギーがアナフィラキシー様反応の危険因子とされ、電子添文でも気管支喘息のある患者は副作用の発現頻度が高いとして原則投与しないこととされています。
覚えるポイント
造影剤反応の危険因子=既往反応・喘息・アレルギー、造影剤腎症の危険因子=腎機能低下・糖尿病・脱水(予防は補液)。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Radiographic Contrast Agents and Contrast Reactions
- PMDA 電子添文:オムニパーク300注・350注(日本薬局方 イオヘキソール注射液)2024年4月改訂第4版
- Katayama H, et al. Adverse reactions to ionic and nonionic contrast media. A report from the Japanese Committee on the Safety of Contrast Media. Radiology. 1990
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。