第107回医師国家試験 A24(2013年)
正答:d
問題
19歳の男性。人前で話ができないことを主訴に来院した。昨年春に大学に入学した。クラブ活動のオリエンテーションで自己紹介を求められた時に、皆の視線を感じて緊張して体が震えることがあった。それ以来、人前に出ることを避け、希望していたクラブにも入らず、講義に出るだけの大学生活を続けている。抑うつ症状はみられず、明らかな幻覚や妄想も認められない。
最も適切な治療はどれか。
a.芸術療法
b.家族療法
c.遊戯療法
d.認知行動療法
e.精神分析療法
正答の理由
人前で注目される場面への強い不安と身体症状、その後の回避行動があり、抑うつや精神病症状はありません。社交不安障害と考えられます。NICEガイドラインは成人の社交不安障害に対し、社交不安障害用に開発された個人認知行動療法を初期治療として推奨しています。
各選択肢の検討
a.誤り。芸術療法は表現を通じた補助的な精神療法で、社交不安障害に対する有効性が確立した第一選択ではありません。
b.誤り。家族療法は家族関係が問題の中心となる場合の治療で、本例の対人場面への不安と回避への標準治療ではありません。
c.誤り。遊戯療法は言語化の難しい幼い子どもを対象とする治療で、19歳の本例には適しません。
d.正しい。不安を生む認知の修正と回避していた場面への段階的な曝露を行う認知行動療法が第一選択です。
e.誤り。精神分析療法は長期間を要し有効性の根拠も乏しく、NICEでも短期力動的精神療法は認知行動療法と薬物療法を拒む場合の選択肢にとどまります。
覚えるポイント
社交不安障害の第一選択は認知行動療法(薬物療法ではSSRI)。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第107回医師国家試験問題および正答
- NICE CG159: Social anxiety disorder: recognition, assessment and treatment – Recommendations
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。