第106回医師国家試験 I73(2012年)
正答:c
問題
62歳の男性。脱毛を主訴に来院した。6か月前から頭頂部に痒みを自覚するようになったため、市販の副腎皮質ステロイド外用薬を塗布していた。2か月前から同部位に膿疱を生じ、脱毛も認めるようになったため受診した。膿疱の細菌培養は陰性である。頭部の写真(別冊No.20)を別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
a.丹毒
b.尋常性乾癬
c.Celsus禿瘡
d.尋常性天疱瘡
e.伝染性膿痂疹

正答の理由
頭皮の掻痒に続いて膿疱性炎症、脱毛、膿汁を伴う腫脹(kerion)が出現し、細菌培養陰性である。頭部白癬の強い炎症型であるCelsus禿瘡(kerion celsi)が最も考えられる。ステロイド外用は真菌症を悪化・修飾し得る。
画像の見方
頭皮に膿疱を伴う腫脹性の炎症性脱毛斑を認め、kerionの外観である。
各選択肢の検討
a.丹毒。主に連鎖球菌による真皮浅層・リンパ管の感染で、発熱や境界明瞭な有痛性紅斑が典型的である。本例の慢性経過の炎症性脱毛斑とは異なる。
b.尋常性乾癬。境界明瞭な鱗屑性紅斑を作るが、膿疱性脱毛性頭皮炎を通常示さない。
c.Celsus禿瘡。正しい。頭部白癬の強い炎症反応で、膿疱性腫脹や脱毛を来す。
d.尋常性天疱瘡。自己抗体による弛緩性水疱・びらんを生じる疾患で、毛髪脱落を伴うkerionとは異なる。
e.伝染性膿痂疹。表在性細菌感染であり、細菌培養陰性の深い炎症性頭部白癬像を説明しない。
覚えるポイント
頭部白癬の炎症性病変kerionは細菌膿瘍に似ることがあるが、真菌感染であり全身抗真菌薬が必要となる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- Consensus‐based Guideline on tinea capitis
- Erysipelas – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。