第106回医師国家試験 I66(2012年)
正答:b
問題
61歳の男性。腹痛を主訴に来院した。1年前に胃癌で胃全摘術を受け、3か月前まで補助化学療法を受けていた。1か月前から間欠的な腹痛の頻度が徐々に多くなった。2週前からは少量の軟便が頻回に排泄されるようになり、1日10回以上となったため来院した。経過中に嘔吐は認めていない。
腹部全体に軽度の膨隆を認める。直腸指診で高度の狭窄を認める。骨盤部CTで直腸膀胱窩に腫瘤と少量の腹水とを認める。注腸造影写真(別冊No.16)を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
a.緩下薬の投与
b.人工肛門造設
c.内視鏡的粘膜切除術
d.経鼻イレウス管の挿入
e.直腸切断術(Miles手術)

正答の理由
骨盤内腫瘤による高度の直腸狭窄と腹部膨隆があり、頻回の少量便は狭窄部を通過する便による閉塞症状と考える。腹膜播種を疑う所見もあり、まず人工肛門で便路を確保する。根治切除を前提としたMiles手術より、閉塞を解除する緩和的手術が適切。
画像の見方
注腸造影で直腸部に高度狭窄があり、口側の通過障害を認める。
各選択肢の検討
a.緩下薬の投与。器質的高度狭窄があり、便量を増やす薬物療法では閉塞を悪化させ得る。
b.人工肛門造設。正しい。高度の悪性狭窄による閉塞症状を緩和し、便路を確保する。
c.内視鏡的粘膜切除術。粘膜内病変の局所治療であり、骨盤内再発による高度狭窄を解除できない。
d.経鼻イレウス管の挿入。小腸閉塞の減圧法であり、直腸の狭窄部を解除しない。
e.直腸切断術(Miles手術)。腹膜播種・腹水を疑う再発病変に対する根治切除として適さず、まず便路変更による緩和を行う。
覚えるポイント
悪性大腸狭窄では、病変の切除可能性と全身病態を見極め、切除不能なら人工肛門で閉塞症状を緩和する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。