特発性正常圧水頭症|第106回医師国家試験I61

第106回医師国家試験 I61(2012年)

正答:d

問題

77歳の男性。1年前から緩徐に進行する歩行困難と尿失禁とを主訴に来院した。軽度の開脚歩行である。その他の身体診察所見に異常を認めない。頭部MRIのT2強調冠状断像(別冊No. 15)を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.Alzheimer型認知症

b.脊髄小脳変性症

c.多発性脳梗塞

d.特発性正常圧水頭症

e.Huntington病

別冊No.15の頭部MRI T2強調冠状断像。側脳室が拡大している。
別冊No.15 / 出典:厚生労働省・第106回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

緩徐な歩行障害と尿失禁に加え、MRIで側脳室拡大、高位円蓋部の脳溝狭小化とSylvius裂の開大を認めます。脳室とくも膜下腔の不均衡な拡大(DESH)を伴う特発性正常圧水頭症が考えられます。

画像の見方

別冊No.15(物理p.20)の頭部MRI冠状断を目視。側脳室の拡大と高位円蓋部の脳溝狭小化を示唆する形態を確認した。

各選択肢の検討

a.Alzheimer型認知症。Alzheimer型認知症は進行性認知機能低下が中心で、歩行障害・尿失禁と脳室拡大を主徴とする所見ではありません。

b.脊髄小脳変性症。脊髄小脳変性症では小脳性運動失調、眼球運動障害などを伴い、MRIで特徴的な小脳・脳幹萎縮をみることがあります。

c.多発性脳梗塞。歩行障害や尿失禁の原因にはなりますが、MRIでは梗塞巣や白質病変が手掛かりになります。本例は脳室拡大と高位円蓋部の脳溝狭小化を伴うDESHが特徴です。

d.特発性正常圧水頭症。正しい。高齢者の緩徐進行性歩行障害、尿失禁とMRIの脳室拡大は特発性正常圧水頭症の典型的な組合せです。

e.Huntington病。Huntington病は若年〜中年発症の舞踏運動や人格・認知変化が特徴で、本例の画像・症状とは異なります。

覚えるポイント

特発性正常圧水頭症では歩行障害が先行しやすく、尿失禁・認知機能障害と脳室拡大を確認する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第106回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました