第106回医師国家試験 H30(2012年)
正答:b
問題
50歳の男性。発熱と咳とを主訴に来院した。3日前に咳が出現した。昨日から痰を伴うようになり、悪寒も自覚したため、救急外来を受診した。生来健康で、気管支喘息の既往はない。体温38.5℃。心拍数104/分、整。血圧110/70 mmHg。呼吸数20/分。聴診上、右前胸部で呼吸音の減弱を認めた。coarse cracklesとwheezesとを認めない。肺炎の診断に関する文献を調べたところ、「気管支喘息がない」、「体温>37.8℃」、「心拍数>100/分」、「呼吸音が減弱している」、「coarse cracklesを聴取する」の5項目に該当する項目数によって、尤度比を予測できることが報告されていた。その対応関係を示す。
肺炎診断で該当する臨床項目数と尤度比
| 該当する項目数 | 尤度比 |
|---|---|
| 0〜1 | 0.3 |
| 2〜3 | 1.0 |
| 4〜5 | 8.2 |
病歴と身体診察所見に基づき計算した場合に、検査前確率〈事前確率〉に比べた検査後確率〈事後確率〉の変化として適切なのはどれか。
a.低くなった。
b.高くなった。
c.変化しなかった。
d.診察前の確率による。
e.評価できない。
正答の理由
5項目中、「喘息なし」「発熱」「頻脈」「呼吸音減弱」の4つに該当する。尤度比8.2は1を超えるため、事前確率に比べ事後確率は上昇する。具体的な事後確率は事前確率にも依存する。
各選択肢の検討
a.低くなった。本例は5項目中4項目に該当し、尤度比が高くなるので逆である。
b.高くなった。喘息なし・発熱・頻脈・呼吸音減弱の4項目に該当し、尤度比8.2で事後確率は上がる。
c.変化しなかった。4項目の尤度比は1.0でなく、事後確率は変化する。
d.診察前の確率による。事後確率の値には事前確率が必要だが、8.2という尤度比から上昇方向といえる。
e.評価できない。提示表により該当数に対応する尤度比と確率変化の方向を評価できる。
覚えるポイント
尤度比が1を超える情報は事後確率を上げ、事後確率の値は事前確率と尤度比の双方で決まる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- Likelihood Ratios, Predictive Values, and Posttest Probabilities
- 厚生労働省:第106回医師国家試験 H問題
- 厚生労働省:第106回医師国家試験 正答表
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。