第106回医師国家試験 G58(2012年)
正答:b・d・e
問題
16歳の男子。全校集会で長時間立位でいた後、失神して倒れたため母親に伴われて校医を受診した。失神前に悪心と胸痛とを自覚したという。目撃者によると意識は1分以内に回復し、すぐに立ち上がることができた。2年前にもランニング中に失神したことがあった。母方の叔父が突然死しているという。身体診察所見で異常を認めない。校医は専門医療機関に紹介した。
校医が専門医療機関に紹介する根拠となった病歴はどれか。3つ選べ。
a.長時間の立位後の失神
b.失神前の胸痛
c.失神の持続時間
d.運動中の失神
e.突然死の家族歴
正答の理由
思春期の失神の多くは長時間の立位などを誘因とする血管迷走神経性失神で良性ですが、肥大型心筋症、QT延長症候群などの不整脈、冠動脈奇形など突然死につながる心原性失神を見逃さないことが重要です。危険な徴候(red flags)は、運動中の失神、胸痛や動悸を伴う失神、若年での突然死の家族歴などです。本例では失神前の胸痛、2年前のランニング中の失神、母方叔父の突然死がこれに当たり、心電図・心エコー・運動負荷などの精査目的で専門医紹介が必要です。
各選択肢の検討
a.誤り。長時間の立位後の失神は静脈還流の低下を誘因とする血管迷走神経性(反射性)失神の典型的な状況で、それだけでは心原性を疑う根拠になりません。
b.正しい。失神前の胸痛は心筋虚血や流出路狭窄など器質的心疾患を示唆する危険な随伴症状です。
c.誤り。1分以内に回復しすぐ立ち上がれたという短い持続時間は、反射性失神を含む失神一般の特徴で、危険性の判別には役立ちません。
d.正しい。運動中の失神は肥大型心筋症、不整脈原性右室心筋症、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍、冠動脈奇形などの心原性失神を示唆する代表的なred flagです。
e.正しい。若年での突然死の家族歴は、QT延長症候群、Brugada症候群、肥大型心筋症など遺伝性不整脈・心筋症を疑う根拠になります。
覚えるポイント
危険な失神のred flags:運動中の失神、胸痛・動悸の随伴、若年突然死の家族歴、心雑音などの器質的心疾患所見。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。