第106回医師国家試験 G36(2012年)
正答:a・e
問題
胃酸分泌を亢進させるのはどれか。2つ選べ。
a.ガストリン
b.セクレチン
c.ソマトスタチン
d.糖依存性インスリン放出ペプチド〈GIP〉
e.ヒスタミン
正答の理由
食物の摂取や迷走神経刺激により前庭部のG細胞からガストリンが分泌され、ガストリンは胃体部のECL細胞からヒスタミンを放出させます。ヒスタミンは壁細胞のH2受容体を刺激して胃酸分泌を起こします(ガストリンは壁細胞にも作用します)。一方、胃内pHが下がるとD細胞からソマトスタチンが分泌され、ガストリンとヒスタミンの放出を抑える負のフィードバックが働きます。セクレチンは胃酸分泌を抑制します。GIPも古典的に胃酸抑制作用から命名されましたが、生理的濃度での酸抑制作用には留保があり、主要な生理作用はインクレチンとしてのインスリン分泌促進です。
各選択肢の検討
a.正しい。ガストリンはECL細胞からのヒスタミン放出を介して(一部は壁細胞へ直接)胃酸分泌を促進します。
b.誤り。セクレチンは酸性の内容物が十二指腸に入ると分泌され、膵からの重炭酸分泌を促すとともに、胃酸分泌を抑えるエンテロガストロンとして働きます。
c.誤り。ソマトスタチンはD細胞から分泌され、G細胞のガストリン放出とECL細胞のヒスタミン放出を抑えて胃酸分泌を低下させます。
d.誤り。GIPは元来「胃抑制ペプチド(gastric inhibitory polypeptide)」として、胃酸分泌を抑える作用から名付けられました。生理的な濃度での酸抑制作用には異論もありますが、少なくとも分泌を亢進させる因子ではありません。
e.正しい。ヒスタミンは壁細胞のH2受容体を刺激し、胃酸分泌の最終的な主経路となります(H2受容体拮抗薬が効く理由)。
覚えるポイント
胃酸分泌を促すのはガストリン・ヒスタミン・アセチルコリン(迷走神経)、抑えるのはソマトスタチン・セクレチン・GIP。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Overview of Acid Secretion
- Papantoniou K, et al. The Role of Somatostatin in the Gastrointestinal Tract. 2025
- Wolfe MM, Boylan MO, Chin WW. Glucose-Dependent Insulinotropic Polypeptide in Incretin Physiology: Role in Health and Disease. 2025
- Müller TD, et al. Glucose-dependent insulinotropic polypeptide (GIP). 2025
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。