放射線防護(線量限度と確率的・確定的影響)|第106回医師国家試験G9

第106回医師国家試験 G9(2012年)

正答:a

問題

放射線の健康影響について正しいのはどれか。

a.実効線量限度は内部被ばく線量を含んでいる。

b.確定的影響には名目リスク係数が設けられている。

c.確率的影響は閾値の存在を前提に算出されている。

d.線量限度は確率的影響を減少させるために設けられている。

e.成人でのがん発生のリスクは全集団でのリスクよりも高い。

正答の理由

ICRP 2007年勧告(Publication 103)では、実効線量限度は外部被ばくによる線量と、放射性核種の摂取による内部被ばくの預託線量との合計に適用されます。放射線防護の目的は確定的影響(組織反応)の発生を防止し、確率的影響のリスクを合理的に達成できる程度に減少させることで、確率的影響には閾値のない直線(LNT)モデルを用い、そのリスクを名目リスク係数で表します。

各選択肢の検討

a.実効線量限度は内部被ばく線量を含んでいる。 正しい。実効線量限度は外部被ばくと内部被ばく(預託実効線量)の合計に対して適用されます。

b.確定的影響には名目リスク係数が設けられている。 誤り。名目リスク係数はがんと遺伝性影響という確率的影響のリスクを表す係数です。確定的影響(組織反応)はしきい線量によって特徴付けられ、しきい線量を超えないよう管理します。

c.確率的影響は閾値の存在を前提に算出されている。 誤り。確率的影響はしきい値のない直線(LNT)モデルを前提にしており、どんなに小さな線量でも有限のリスクがあると仮定します。

d.線量限度は確率的影響を減少させるために設けられている。 誤り。線量限度は確率的影響を容認できる水準に抑えるだけでなく、確定的影響を防ぐ役割も持ちます。皮膚・手足・眼の水晶体の等価線量限度は確定的影響(組織反応)の発生防止のために設けられています。

e.成人でのがん発生のリスクは全集団でのリスクよりも高い。 誤り。がんの名目リスク係数は全集団5.5×10⁻²/Sv、成人4.1×10⁻²/Svで、放射線感受性の高い若年者を含む全集団の方が高く、成人の方が低くなります。

覚えるポイント

確定的影響=しきい線量あり、確率的影響=しきい値なし(LNT)で名目リスク係数。実効線量限度は外部+内部被ばくの合計。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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