第106回医師国家試験 F20(2012年)
正答:c
問題
70歳の女性。1人暮らし。5日前からの発熱と下痢とを主訴に、往診の依頼があった。2年前に大腿骨頸部骨折を受傷して以来、自宅で寝たきりになっている。意識は清明。体温38.0℃。脈拍104/分、整。血圧86/50 mmHg。呼吸数24/分。
この患者で認める可能性が高いのはどれか。
a.黄疸
b.腹水
c.乏尿
d.甲状腺腫大
e.外頸静脈怒張
正答の理由
寝たきりで自力で水分を摂りにくい1人暮らしの高齢者が、5日間の発熱と下痢で水分・ナトリウムを失い、頻脈と低血圧を来しています。細胞外液量の減少(脱水)と考えられ、腎血流の低下に対する代償として尿量が減るため、乏尿を認める可能性が高いです。
各選択肢の検討
a.誤り。黄疸は肝胆道疾患や溶血でみられる所見で、発熱と下痢による脱水だけでは説明できず、本例にそれを示す情報もありません。
b.誤り。腹水は肝硬変・心不全・腹膜疾患などで生じます。循環血液量が減っている状態で腹水が増える根拠はありません。
c.正しい。循環血液量の減少で腎血流が低下し、腎臓が水とナトリウムを保持しようとするため尿量が減少します。
d.誤り。甲状腺腫大は甲状腺疾患の所見で、本例の急性の発熱・下痢・低血圧とは関係がありません。
e.誤り。頸静脈の怒張は右房圧が高い状態(心不全など)の所見です。循環血液量が減少している本例では、むしろ頸静脈は虚脱して見えにくくなります。
覚えるポイント
高齢者の発熱・下痢+頻脈・低血圧は脱水(循環血液量減少)を考え、乏尿・皮膚ツルゴール低下・頸静脈虚脱を確認する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Volume Depletion
- MSD Manual Professional Edition: Acute Heart Failure
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。