ショックに対する初期輸液(等張晶質液)|第106回医師国家試験F18

第106回医師国家試験 F18(2012年)

正答:b

問題

82歳の男性。意識障害のため搬入された。家族からの情報では、ここ数日は頻繁に下痢をしていたという。意識レベルはJCS Ⅲ-100。体温38.2℃。心拍数110/分、整。収縮期血圧78 mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 97%(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。全身に発汗を認める。末梢静脈路を確保した。

現時点で使用する輸液製剤として適切なのはどれか。

a.脂肪乳剤

b.生理食塩液

c.アミノ酸製剤

d.5%ブドウ糖液

e.高カロリー輸液製剤

正答の理由

数日続く下痢と発熱のあと、頻脈・低血圧(収縮期78 mmHg)・意識障害を来し、頸静脈の怒張がないことから、下痢による循環血液量減少に感染(敗血症)が加わったショックと考えられます。まず必要なのは血管内容量の迅速な補充で、生理食塩液や乳酸リンゲル液などの等張晶質液を急速投与します。栄養目的の製剤や低張液は循環の回復に役立ちません。

各選択肢の検討

a.誤り。脂肪乳剤はエネルギー補給のための栄養製剤で、循環血液量を増やす目的には使えず、ショックの初期治療には不適切です。

b.正しい。生理食塩液は等張晶質液で、投与直後の一定量が血管内にとどまり循環血液量を補えます。ショックの初期輸液として急速投与します。

c.誤り。アミノ酸製剤は蛋白合成のための栄養製剤であり、容量補充の効果は乏しく、ショックの蘇生には用いません。

d.誤り。5%ブドウ糖液はブドウ糖が代謝されると自由水となって細胞内外に広く分布し、血管内に残る量がごくわずかなため、ショックの蘇生輸液には用いません。

e.誤り。高カロリー輸液製剤は中心静脈から投与する高浸透圧の栄養輸液で、循環を立て直す目的には使わず、ショック時には高血糖などの負担にもなります。

覚えるポイント

ショックの初期輸液は生理食塩液・乳酸リンゲル液などの等張晶質液を急速投与する。5%ブドウ糖液や栄養輸液は蘇生に使わない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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