第106回医師国家試験 F5(2012年)
正答:c
問題
胃体下部小彎の内視鏡写真(別冊No. 1)を別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
a.胃潰瘍
b.進行胃癌
c.萎縮性胃炎
d.胃ポリープ
e.胃粘膜下腫瘍

正答の理由
写真では胃体下部小彎の粘膜が平坦で光沢に乏しく、粘膜を透かして樹枝状の細い血管が広い範囲に見えています。潰瘍・隆起・腫瘤はありません。胃底腺が萎縮して粘膜が薄くなると、粘膜下の血管が透見されるようになります。萎縮はHelicobacter pylori感染に伴う慢性胃炎で起こりやすく、小彎に沿って口側へ広がることが多い所見です。最も考えられるのは萎縮性胃炎(c)です。
画像の見方
反転観察で胃体下部小彎が写っています。粘膜は平坦でひだや隆起はなく、粘膜を透かして細い樹枝状の血管網が広範囲に見えます(血管透見)。潰瘍・白苔・腫瘤・隆起性病変はみられません。
各選択肢の検討
a.誤り。胃潰瘍は白苔に覆われた陥凹(粘膜欠損)や周囲のひだ集中としてみられます。写真には陥凹も白苔もありません。
b.誤り。進行胃癌は周堤を伴う潰瘍や不整な隆起・腫瘤、壁の硬化としてみられます。写真の粘膜は平坦で、腫瘤も潰瘍もありません。
c.正しい(正答)。粘膜が薄くなり、粘膜下の樹枝状血管が透けて見える(血管透見)ことが萎縮性胃炎の内視鏡所見です。進行した萎縮では粘膜下の血管がみえるようになります。
d.誤り。胃ポリープは粘膜面から突出する限局性の隆起として写ります。写真には隆起がありません。
e.誤り。粘膜下腫瘍は正常粘膜に覆われたなだらかな半球状の隆起(しばしば架橋ひだを伴う)として写ります。写真には隆起がありません。
覚えるポイント
胃粘膜の血管透見=萎縮。H. pylori感染に伴う萎縮は小彎に沿って口側へ広がり、胃癌のリスクとなる。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。