第106回医師国家試験 E33(2012年)
正答:c
問題
排便時の生理で誤っているのはどれか。
a.大腸の蠕動運動が生じる。
b.直腸内圧が上昇する。
c.内肛門括約筋が収縮する。
d.恥骨直腸筋が弛緩する。
e.肛門管と直腸とが直線化する。
正答の理由
排便は、大腸の高振幅伝播収縮(大蠕動)で内容が直腸へ送られることから始まります。直腸が伸展すると直腸肛門抑制反射で内肛門括約筋(不随意の平滑筋)が弛緩し、排出期には外肛門括約筋を随意に弛緩させて腹圧をかけ、直腸側の圧が肛門管より高くなります。同時に恥骨直腸筋が弛緩して肛門直腸角が鈍角(110〜155°程度)になり、肛門管は短縮・開大して直腸と一直線に近づきます。内肛門括約筋は収縮ではなく弛緩するので、cが誤りです。
各選択肢の検討
a.大腸の蠕動運動が生じる。正しい。高振幅伝播収縮などの大腸の推進運動で内容が直腸へ運ばれ、排便が始まります。
b.直腸内圧が上昇する。正しい。腹圧(いきみ)と直腸の収縮で直腸側の圧が肛門管の圧を上回り、排出が起こります。
c.内肛門括約筋が収縮する。誤り(正答)。直腸の伸展による直腸肛門抑制反射で内肛門括約筋は弛緩します。
d.恥骨直腸筋が弛緩する。正しい。排便時に弛緩して直腸を前方に引く力が緩み、肛門直腸角が開きます(弛緩しないのが排便協調障害)。
e.肛門管と直腸とが直線化する。正しい。肛門直腸角が鈍角となり、肛門管が短縮・開大して直腸から肛門への通り道がまっすぐに近づきます。
覚えるポイント
排便時は大腸の推進運動・直腸内圧上昇・内肛門括約筋弛緩(直腸肛門抑制反射)・外肛門括約筋と恥骨直腸筋の弛緩・肛門直腸角の鈍化。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- Physiology of lower gastrointestinal tract(Europe PMC, PMC12278992)
- Palit S, Lunniss PJ, Scott SM. The physiology of human defecation. Dig Dis Sci 2012(Europe PMC 22367113)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。