第106回医師国家試験 E16(2012年)
正答:b
問題
成人の解剖で正しいのはどれか。
a.胸部食道は気管の腹側を走行する。
b.大腿静脈は大腿動脈の内側に位置する。
c.内鼠径輪は下腹壁動脈の内側に位置する。
d.十二指腸球部は後腹膜に固定されている。
e.第2仙椎下縁の高さから腹膜翻転部までを直腸S状部と呼ぶ。
正答の理由
大腿三角では外側から大腿神経、大腿動脈、大腿静脈の順に並び、大腿静脈は大腿動脈の内側にあります。食道は気管の背側、内鼠径輪は下腹壁動静脈の外側、十二指腸球部(第1部の始まり2〜3 cm)は腹膜内にあり可動性があります。大腸癌取扱い規約では岬角〜第2仙椎下縁が直腸S状部(RS)、第2仙椎下縁〜腹膜反転部が上部直腸(Ra)です。
各選択肢の検討
a.胸部食道は気管の腹側を走行する。誤り。食道は気管の背側(後方)を下行し、気管は食道の前方に接します(両者の間の溝を反回神経が走ります)。
b.大腿静脈は大腿動脈の内側に位置する。正しい。大腿鞘内では外側区画に大腿動脈、中間区画に大腿静脈、内側に大腿管があり、外側から神経・動脈・静脈の順に並びます。大腿静脈穿刺は動脈拍動の内側で行います。
c.内鼠径輪は下腹壁動脈の内側に位置する。誤り。内鼠径輪(深鼠径輪)は下腹壁動脈の約1 cm外側にあります。下腹壁動脈の外側から出る外鼠径ヘルニア、内側から出る内鼠径ヘルニアを区別する目印です。
d.十二指腸球部は後腹膜に固定されている。誤り。十二指腸第1部の始まりの2〜3 cm(球部)は腹膜内にあり可動性があります。第1部の残りから第4部までが後腹膜に固定されています。
e.第2仙椎下縁の高さから腹膜翻転部までを直腸S状部と呼ぶ。誤り。この区間は上部直腸(Ra)です。直腸S状部(RS)は岬角の高さから第2仙椎下縁までを指します。
覚えるポイント
大腿三角は外側から神経・動脈・静脈(NAV)。内鼠径輪は下腹壁動脈の外側。RS=岬角〜S2下縁、Ra=S2下縁〜腹膜反転部。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- Oesophagus(Radiopaedia, Knipe H, et al.)
- Femoral triangle(Radiopaedia, Knipe H, et al.)
- Inguinal canal(Radiopaedia, Knipe H, Hacking C, Yap J, et al.)
- Duodenum(Radiopaedia, Jones J, Hacking C, Walizai T, et al.)
- Japanese Classification of Colorectal, Appendiceal, and Anal Carcinoma: the 3d English Edition(Japanese Society for Cancer of the Colon and Rectum. J Anus Rectum Colon 2019, Europe PMC全文)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。