第106回医師国家試験 D46(2012年)
正答:b
問題
26 歳の女性。未経妊。3 か月前からの性交時出血を主訴に来院した。月経周期は 28 日型、整。内診で、帯下は白色、子宮は鶏卵大で可動性は良好である。経腟超音波検査で子宮と卵巣とに異常を認めない。子宮頸部の細胞診 Papanicolaou 染色標本(別冊 No. 17)を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
a.子宮内膜組織診
b.コルポスコピィ
c.腟分泌物培養検査
d.低用量経口避妊薬の投与
e.子宮頸部レーザー蒸散術

正答の理由
若年女性の接触(性交時)出血で、子宮頸部細胞診に核腫大・N/C比増大・クロマチン増量を示す異型扁平上皮細胞の集塊を認め、高度扁平上皮内病変(CIN 2〜3)以上の病変を疑います。細胞診はスクリーニング検査であり、異常細胞を認めた場合はコルポスコピー(腟拡大鏡診)で病変部位を観察し、狙い組織診で組織学的診断を確定してから治療方針を決めます。
画像の見方
周囲の表層扁平上皮細胞(広い細胞質に小さな濃縮核)に比べ、中央の集塊では核が大きく、N/C比が高く、核クロマチンが増量した異型細胞が重積している。一部はオレンジG好性の細胞質をもつ角化型の異型細胞である。高度扁平上皮内病変〜扁平上皮癌を疑う異常細胞像。
各選択肢の検討
a.誤り。子宮内膜組織診は不正出血で子宮体癌(内膜病変)を疑うときの検査で、異常は子宮頸部の扁平上皮系細胞にあり、まず頸部を評価します。
b.正しい。細胞診で異型細胞を認めた場合は、コルポスコピーで病変を確認し狙い生検を行って組織診断を確定します。
c.誤り。帯下は白色で腟炎を示す所見はなく、培養検査では細胞診でみられた腫瘍性異型細胞を評価できません。
d.誤り。低用量経口避妊薬は月経困難症や避妊などに用いる薬で、子宮頸部の前癌病変・癌の診断や治療になりません。
e.誤り。レーザー蒸散術はコルポスコピー下の組織診でCINと確定し浸潤癌を否定した後に行う治療で、組織診断前に行うと病変の評価ができなくなります。
覚えるポイント
子宮頸部細胞診の異常(異型細胞)→コルポスコピーと狙い組織診で確定してから治療を決める。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Cervical Cancer
- MSD Manual Professional Edition: Cervical Cancer Screening and Prevention
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。