第106回医師国家試験 D1(2012年)
正答:b
問題
肝硬変の進行とともに上昇するのはどれか。
a.血小板数
b.ICG 15 分停滞率
c.血清アルブミン値
d.ヘパプラスチンテスト値
e.Fischer(分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)比
正答の理由
肝硬変が進むと、肝細胞の取り込み・排泄能(予備能)と合成能が落ち、門脈圧亢進で脾機能亢進も進みます。ICG(インドシアニングリーン)は肝細胞に取り込まれて胆汁へ排泄される色素なので、肝予備能や肝血流が低下すると血中に残る割合(15分停滞率、ICG-R15)が上昇します。合成能を反映するアルブミン・ヘパプラスチンテスト、脾機能亢進で減る血小板、BCAA低下とAAA上昇で下がるFischer比は、いずれも進行とともに低下します。
各選択肢の検討
a.血小板数。誤り。肝硬変では門脈圧亢進による脾腫・脾機能亢進(およびトロンボポエチン産生低下)で血小板減少が進みます。
b.ICG 15 分停滞率。正しい。肝細胞への取り込み・胆汁排泄と肝血流が低下するとICGの血中残存率が上昇し、肝予備能低下の指標になります(門脈圧の指標HVPGとも正相関すると報告されています)。
c.血清アルブミン値。誤り。肝の蛋白合成能低下(と腹水による分布容積増大)でアルブミンは低下します。
d.ヘパプラスチンテスト値。誤り。ヘパプラスチンテストは肝で合成されるビタミンK依存性凝固因子のうち第II・VII・X因子の総合活性を%で示す検査で、肝炎・肝硬変では正常者より低下し、重症度が増すほど低値になります(PT延長と同じ方向の変化)。
e.Fischer(分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)比。誤り。肝硬変ではBCAAが筋で消費されて低下し、芳香族アミノ酸は肝で代謝されず上昇するため、BCAA/AAA比(正常約3〜3.5)は低下します。
覚えるポイント
肝硬変の進行で「上がる」のはICG-R15・ビリルビン・PT(秒)など、「下がる」のは血小板・アルブミン・ヘパプラスチンテスト・コリンエステラーゼ・Fischer比。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Cirrhosis
- MSD Manual Professional Edition: Laboratory Tests of the Liver and Gallbladder
- Hu H, et al. Indocyanine Green Retention Rate at 15 Minutes as a Key Predictor of Clinically Significant Portal Hypertension in Cirrhosis (Turk J Gastroenterol 2026)
- Protein and Macronutrient Metabolism in Liver Cirrhosis: About Sarcopenia (2025)
- 海藤勇, 佐藤俊一, 石井隆. 肝炎・肝硬変におけるヘパプラスチンテスト (HPT) の臨床的意義. 血液と脈管 1976;7(9):735 (J-STAGE)
- 今岡真義, 小川睦子, 佐々木洋, 寺沢敏夫. 肝機能検査としてのヘパプラスチンテストの有用性. 血液と脈管 1982;13(2):207-210 (J-STAGE)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。