第106回医師国家試験 C14(2012年)
正答:b
問題
食事療法の重要性が特に高いのはどれか。
a.うつ病
b.慢性腎不全
c.更年期障害
d.甲状腺機能亢進症
e.慢性炎症に伴う貧血
正答の理由
慢性腎臓病(慢性腎不全)では、腎機能の悪化抑制と合併症予防のため、食事療法が治療の柱になります。日本腎臓学会の食事療法基準では、十分なエネルギー(25〜35 kcal/kg標準体重/日)を確保したうえで、病期に応じてたんぱく質を制限(G3aで0.8〜1.0、G3b以降で0.6〜0.8 g/kg標準体重/日)します。食塩は6 g/日未満とし、G3b以降はカリウムも制限します。ほかの選択肢の治療の中心は薬物療法や原疾患の治療です。
各選択肢の検討
a.うつ病。誤り。治療の中心は抗うつ薬と精神療法で、ときに電気けいれん療法などを行います。食事療法が治療の柱になる疾患ではありません。
b.慢性腎不全。正しい。たんぱく質・食塩・カリウム制限と十分なエネルギー確保からなる食事療法が、病期に応じて行う標準治療の柱です。
c.更年期障害。誤り。生活習慣の改善、非ホルモン療法、ホルモン補充療法などで症状に対応します。食事療法が特に重要な疾患ではありません。
d.甲状腺機能亢進症。誤り。原因に応じて抗甲状腺薬(チアマゾール・プロピルチオウラシル)、放射性ヨウ素、手術を選び、症状にはβ遮断薬を用います。
e.慢性炎症に伴う貧血。誤り。炎症でヘプシジンが増え、腸からの鉄吸収と貯蔵鉄の再利用が妨げられて起こる貧血です。治療は原疾患の改善が基本で、鉄欠乏を合併していなければ鉄補充は通常行わず、食事療法で改善する貧血ではありません。
覚えるポイント
慢性腎臓病の食事療法:エネルギー確保+たんぱく質制限(病期別)+食塩6 g/日未満+カリウム制限(G3b以降)。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- 日本腎臓学会 編:慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版(日腎会誌 2014;56(5):553-599)
- MSD Manual Professional Edition: Depressive Disorders
- MSD Manual Professional Edition: Menopause
- MSD Manual Professional Edition: Hyperthyroidism
- MSD Manual Professional Edition: Anemia of Chronic Disease
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。