医療保護入院の要件と処遇|第106回医師国家試験B47

第106回医師国家試験 B47(2012年)

正答:a・c

問題

21歳の男性。引きこもりを心配した両親に伴われて来院した。1年前から大学の講義を休んで自室に引きこもり、独り言を言うようになった。患者は「外に出ると、誰もいないのに自分への悪口が聴こえる」と言う。応対は穏やかであるが、「自分は病気ではない」と治療を拒否した。両親は入院治療を希望している。

この患者に適用される入院形態で正しいのはどれか。2つ選べ。

a.保護者の同意が必要である。

b.入院期間には72時間以内という制限がある。

c.精神保健指定医の診察に基づいて判断される。

d.人権擁護に関する行政機関の職員との面会を制限できる。

e.患者が手紙を出したり受け取ったりすることを制限できる。

正答の理由

幻聴と引きこもりから統合失調症が疑われ、病識がなく入院を拒否していますが、自傷他害のおそれは示されていないので措置入院ではなく医療保護入院の対象です。出題当時(2012年)の精神保健福祉法では、医療保護入院は精神保健指定医の診察で医療・保護のため入院が必要と判定され、保護者の同意があるときに本人の同意なく入院させる制度でした(当時の第33条第1項「保護者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる」)。なお2013年改正(2014年4月施行)で保護者制度は廃止され、現行法では「家族等のうちいずれかの者の同意」に変わっています。

各選択肢の検討

a.保護者の同意が必要である。正しい。出題当時の医療保護入院は保護者の同意が要件でした。現行法では保護者制度が廃止され「家族等のいずれかの者の同意」が要件となっているため、現在の表現では「家族等の同意」と読み替えます。

b.入院期間には72時間以内という制限がある。誤り。72時間の制限があるのは、保護者(現行法では家族等)の同意を得られない急速を要する場合の応急入院(当時の第33条の4、現行の第33条の6)や緊急措置入院、任意入院者の退院制限です。出題当時の医療保護入院(第33条第1項)には期間の上限の定めがなく、現行法では6か月以内で省令の定める期間を定めて入院させ、更新する仕組みです。

c.精神保健指定医の診察に基づいて判断される。正しい。医療保護入院は指定医の診察で精神障害者であり医療・保護のため入院が必要で、任意入院が行われる状態にないと判定されることが要件です。

d.人権擁護に関する行政機関の職員との面会を制限できる。誤り。精神保健福祉法第36条2項(出題当時も現行も同文)は、都道府県その他の行政機関の職員との面会の制限を、管理者が行うことのできない行動制限として定めています。

e.患者が手紙を出したり受け取ったりすることを制限できる。誤り。信書の発受の制限は第36条2項(出題当時も現行も同文)で、精神科病院の管理者が行うことのできない行動制限と明記されています。

覚えるポイント

医療保護入院=精神保健指定医の診察+家族等(当時は保護者)の同意。信書の発受と行政機関職員との面会は制限できない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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